雪の平壌で金総書記の葬儀、霊柩車に正恩氏が寄り添う

北朝鮮で28日、17日に69歳で
死去した金正日総書記の葬儀が行われた。

国営テレビの映像によると、雪に覆われた平壌市内の大通りを、
金正日総書記の巨大な写真を掲げたリムジンを先頭に葬列が続いた。

車列が通過する通り沿いでは、多くの兵士が
頭を下げて金正日総書記に別れを告げた。

棺を載せた霊柩車には後継者とされる金正恩氏のほか、
金正日総書記の義弟である張成沢氏や、李容浩総参謀長が付き添った。

北朝鮮国民の間では、故金正日総書記は「天候を
コントロールする力がある」と信じられてきた。

この日の平壌市内は異例なほど気温が低く、雪模様で、
国営メディアはこの悪天候を金総書記の死と関連づけて伝えている。

一方、悲しみに打ちひしがれて泣き叫ぶ市民の映像は、
放映された映像とは符合しない部分もあり、放送が
生中継なのか録画されたものであるか、はっきりしない。

北朝鮮の指導者は、金日成主席、金正日総書記に続き、
正恩氏で3代目の世襲となる。

北朝鮮は来年「強盛大国」の実現を目指しているが、
世界中で独裁国家が次々崩壊するなか、経験の乏しい
正恩氏が急きょ実権を握ることになった
北朝鮮の今後には不透明感が漂う。

北朝鮮に対しては、唯一中国が強い影響力を
持っているとみられており、日本、韓国などの周辺国や
米国は、無秩序な体制崩壊が起こらないよう望むことしかできない。

シンクタンク外交問題評議会朝鮮半島問題が
専門の上級研究員スコット・スナイダー氏は
「正恩氏を除いて指導部の状況が基本的に
変わっていないことから、政策の変更を
予想する根拠はいまのところ乏しい」と述べた。

韓国大学の北朝鮮専門家、Yoo Ho-yeol氏は
金正日総書記の死が初めて伝えられて以降、
張成沢氏の地位が高くなっている。新たな指導部の
トップが金正恩氏であることは間違いないが、
階級や影響力の点で言えば、張成沢氏は
かなりの地位を確保したようだ」と語っている。

金正日総書記の死以降の動きを見れば、「先軍主義」政策は
今後も続く見通しで、多くの国民が飢えている状況は
さらに悪化する可能性がある。

北朝鮮は2度の核実験を行い、核保有を目指しているが、
国民は貧困にあえいでおり、国連のデータによると、
金日成主席が死去した時点に比べ、
国民の平均寿命は3年半も短くなっている。

米中央情報局(CIA)のワールドファクトブックでは、
国民1人当たりの富が227カ国のうち194位にランクされている。