日米独国債に投資家需要が過剰集中の可能性=日銀

日銀は26日、リーマン・ショックと欧州ソブリン問題により
安全資産の種類が減少したため日米独の国債
過剰に買われている可能性があるとの見解を
「日銀レビュー」として公表した。

財政状況が深刻であるにもかかわらず日本は
国債価格・長期金利の安定が続いているが、
市場で過剰評価されている反動も起こり得る点を
暗に指摘した格好だ。

日銀レビューによると、2000年代以降、アジア新興国産油国は、
大幅に増えた外貨準備を米国などの国債や米政府系金融機関が発行する
エージェンシー債、住宅ローン担保証券MBS)などに振り向けた。

米国債やエージェンシー債などは需要増に伴い利回りが低下したため、
より高い利回りを求める欧米投資家は、トリプルA格の
民間資産担保証券の購入を増やした。

しかし、2008年のリーマン・ショックを契機に、
民間資産担保証券は格下げでトリプルA格の発行額が急減。

政府系金融機関が公的管理下に入ったことで
エージェンシー債やMBSの発行残高も大幅に減少。

欧州でも2010年春のギリシャ危機以前は、ユーロ圏内で
ギリシャのみであった投機的格付けの国債が、
現在はアイルランドやスペイン、イタリア、
ポルトガル、ベルギーまで拡大。

フランス国債も安全資産と見なしにくくなっており、
日米及びドイツの国債に投資家需要が過剰に集中していると説明している。

日本では2010年後半以降の海外からの日本国債への需要増が
円高の一因になっている可能性もあるとみている。