第4四半期の米GDP速報値は1年半ぶり強い伸び、この先減速も

米商務省が27日発表した第4・四半期国内総生産GDP)速報値は、
年率換算で前期比2.8%増と、第3・四半期の同1.8%増から加速し、
2010年第2・四半期以来の強い伸びとなった。

ただ、大幅な在庫の拡充や設備投資の鈍化は、今年に入り
成長が減速していることを示唆している。
2011年全体の伸び率は1.7%、前年は3.0%だった。

企業在庫が560億ドル増加し
GDPの伸びを1.94%ポイント押し上げた。
増加ペースは2010年第3・四半期以来の大きさ。

2011年第3・四半期は、
2009年末以来のマイナスとなっていた。

在庫を除いた最終需要は0.8%増。
第3・四半期の3.2%増から大きく減速した。

大幅な在庫積み上がりは、2012年初めに
回復の足取りが鈍ることを示唆している。

また、設備投資も1.7%増と、第3・四半期の15.7%増から
大きく鈍化し2009年以来の低水準となったことも、
成長が鈍化している可能性を示している。

欧州債務危機の影響が出始めているとみられる。

個人消費支出は2.0%増と、第3・四半期の
1.7%増からやや伸びが加速した。
自動車の買い替え需要が寄与した。

東日本大震災の影響による人気車種の供給の遅れが
解消されてきたことが主因とみられる。

インフレの落ち着きも消費支出に追い風となった。

個人消費支出(PCE)価格指数は0.7%上昇と、
第3・四半期の2.3%上昇から鈍化し、
1年半ぶりの弱い伸びとなった。

エネルギーと食料品を除いたコアPCE価格指数も
1.1%上昇と前期の2.1%上昇から減速。

年間の伸びは1.4%と、連邦準備理事会(FRB)の
目標とする2%を大きく下回った。

失業率が8.5%と高止まりするなか所得の伸びは弱く、
この先、消費者を圧迫するとみられる。

貯蓄率は3.7%と、前四半期の3.9%から低下した。

世界的に需要が鈍化するなかで輸出の伸びが
前期から横ばいとなる一方、輸入が拡大したことから、
純輸出はGDPの伸びを0.11%ポイント押し下げた。

宅建設は暖冬になったことにも支援され、
2010年第2・四半期以来の大幅な伸びとなった。

政府支出は5四半期連続で減少。

国防費の落ち込みなどが背景となった。

今年は成長減速が見込まれるものの、アナリストは
リセッション(景気後退)入りは予想していない。