米追加緩和論に雇用統計が一石、地区連銀総裁が慎重姿勢

米連邦準備理事会(FRB)の追加緩和について、
リッチモンド地区連銀のラッカー総裁は論理的根拠に
乏しいと指摘した一方で、サンフランシスコ地区連銀の
ウィリアムズ総裁は確実でない、との見方を示した。

1月の米雇用統計が両総裁の見解に
一定の影響を与えたことをうかがわせた。

ウィリアムズ総裁はハト派
ラッカー総裁はタカ派とされている。

両総裁とも今年の連邦公開市場委員会FOMC)で
投票権を有し、1月会合ではウィリアムズ総裁が
決定に賛成する一方、ラッカー総裁は超低金利政策の
時間軸を示すべきでないとして反対票を投じていた。

ラッカー総裁は、CNNテレビでQE3について質問され、
想定外の事態なら常に追加緩和は正当化されると指摘した上で、
現時点で可能性が高くないとの見解を示し、景気回復を示す
経済指標の発表が続けば「追加緩和の
論理的根拠があるとは思わない」と答えた。

ウィリアムズ総裁は講演後、記者団に、景気を支援するため
追加的な債券買い入れが必要になる可能性は依然あるものの、
予想を上回る雇用統計によって「微妙(close call)」に
なったとの認識を示した。

景気減速が明らかであったりインフレが大幅に鈍化すれば、
追加緩和を実施する根拠はかなり強いという考えに基づけば、
追加緩和の実施は「確定的ではない」と語った。

ウィリアムズ総裁は、2012年の米成長率が2%強と予想。

「それは、私にとって満足のいくものではない」としつつも、
最近の雇用市場の力強さを踏まえれば「私の予想は
微妙な部分もある」と述べた。

ただ、追加の債券買い入れが正当化されるほど状況が
悪化した場合、住宅市場てこ入れに向け、住宅ローン担保証券
MBS)を買い入れるべきとの考えも示した。

その上で、QE1、QE2のように買い入れの規模や時期を
あらかじめ設定するのでなく、柔軟な方法で行うことが
望ましいと指摘した。

MBS買い入れについては、シカゴ地区連銀の
エバンズ総裁も前週、支持する意向を表明している。