中国、改革に失敗すれば日本のような経済停滞リスクも=社会科学院幹部

全国人民代表大会(=全人代、国会に相当)の常務委員で、
中国政府系シンクタンク中国社会科学院人口・労働経済研究所の
蔡纊所長はこのほど、ロイターのインタビューに応じ、
中国が高齢化や労働力人口の減少に応じた改革に失敗すれば、
日本のような長期間にわたる経済停滞に
直面するリスクがあるとの見解を示した。

その上で、唯一の解決策として、中国の経済成長モデルを
廉価な労働・資本コストに依存したものから創造性と
生産性に依存したものに転換するしかないとの考えを明らかにした。

所長は「中国の人口構造の優位性は近いうちになくなり、
そうなれば高成長モデルは無効になるだろう」と述べた。

出生数の急速な減少を背景に、13億5000万人に及ぶ
中国の人口構造において、これまで大きな優位性を
誇っていた労働力人口はピークを迎えつつある。

政府統計によると、2011年の全人口に占める15〜64才の
人口割合は74.4%に低下、低下は10年ぶり。

蔡所長は「日本は人口構造の優位性を1990年に失い、
それ以来日本経済は停滞している」と指摘。

「中国は生産性を改善しなければならない。
もしそれができなければ、明確な形で経済成長率の
減速が表れるだろう。日本では20年間にわたって
1%以下の成長率となっているが、中国では
4%の成長率でも低迷とされるだろう」と警戒感を示した。

一方、同所長は、新たな成長戦略の探求に当たっては、
政府ではなく、民間企業が主導するべきと述べた。

政府が民間活動への介入を控えれば、実業界の
「破壊的創造」を通じ、新たな成長の芽を
見つけることが可能との考えを示した。

国と地方いずれにおいても、政府が民間の成長プロセスを
阻害することがしばしば見られたことに触れた上で、
「過去数年間、中国の潜在成長率は低いままだった。
これは政府が民間の活動を抑えていたためであり、
これでは成長の持続性がすっかり失われてしまう」と述べた。