日銀判断は市場も含め評価と首相、引き続き適時果断な政策求める

野田佳彦首相は23日、衆議院予算委員会での経済問題
円高・デフレ・第一次産業等)集中審議で、
先般の日銀の決定会合を評価しているとし、
引き続き適時果断な金融政策を
お願いしていきたいと語った。

また、白川方明日銀総裁と頻繁に会って
連携を強化したい考えも改めて示した。

白川総裁も、物価上昇率1%を目指して強力に
金融緩和を続ける意思を示したが、デフレ脱却には
政府・民間の努力も必要と指摘した。

野田首相は、2月14日に日銀が追加緩和を決定した後、
為替市場で1ドル80円台まで円安が進んでいることに関連して
「慢性的に円高基調の流れがあった中で、先般の日銀の判断は
市場も含めて評価を得ている」との認識を示した。

さらに適時果断な金融政策を講じていただきたい、
とさらなる政策に期待を示した。

日銀との意見交換を行う会合について野田首相
日銀総裁、副総裁らと関係閣僚を交えた
会合については定期的に行うことも検討したいと思う」
とする一方、白川総裁とはそうした会合とは別に随時、
頻繁に会っていきたいとの考えを示した。

一方、日銀法を改正し、目指す物価上昇率
達成されなかった場合の責任規定などを設けては
どうかとの質問には「決定会合が評価されている
ということが客観的にある中で、その正当性を
疑わせる議論を今やるのは間違いだ」と答えた。

デフレ脱却に向けた政府としての有効な政策手段について、
首相は「24年度予算にも需要を掘り起こすプログラムが
入っている。新成長戦略にも需要を喚起する政策が
あるので取り組んでいく」と述べたが、それ以上の
具体策は示さず、改めて日銀と緊密に連携し、
適時果断な政策をお願いしたいと付け加えるにとどめた。

白川日銀総裁は先の政策決定のタイミングについて
「年明け以降、欧州債務危機が少しずつ前進するなどの
明るいムードを後押しすることで政策課題を
達成していくのが狙いだ」と説明。

デフレ脱却と物価安定の下での持続的成長を実現するため、
物価上昇率1%を目指して強力に金融緩和を続ける意思を示した。

一方、「ゼロ金利の下で(資金供給)量を増やすだけで
自動的に物価は上がらない」とし、「デフレ脱却には
政府や民間が成長力を上げる努力も必要だ」との考えを示した。

白川総裁はまた1%の物価上昇を目指すとして、
インフレターゲットという言葉を使わなかったことについて、
中央銀行、米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)と
同じような思想で政策運営しているとの見解を示した上で、
「ターゲットという言葉から連想される機械的な運営でなく、
長期的にどういう状況を目指すかをはっきり示すため、
(日銀は)目途、目指すという言葉を使った」と説明した。

流動性のわな」に陥っているか、との質問に総裁は
「そういうとやや行き過ぎの感じがする」と答えた。

短期金利はほぼゼロだが、しかし日銀としては
金融政策の力を使って需要を作り出す義務がある。
少し長めの金利を低下させ、さらにリスクプレミアムが
ついている民間金利にも働きかけ、金利を少しでも下げて
需要を刺激していくことを狙っている」と述べた。

また白川総裁は、金利が全期間で一律に1%上昇した場合、
金融機関が保有する国債などの債券に大手行で3.5兆円、
地域銀行で2.8兆円の損失が生じるとの試算を明らかにした。

民主党津村啓介委員、新党大地石川知裕委員、
自民党中川秀直委員、菅原一秀委員、竹本直一委員、
公明党の竹内譲委員などの質問への答弁。