ユーロ圏回復は極めて緩慢、危機収束したと言い難い=ECB総裁

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は23日、
ユーロ圏経済について、昨年末の非常に弱い状態から
回復しており、今月9日のECB理事会以降、
明るい兆候が増したとの認識を示した。

フランクフルター・アルゲマイネ
(FAZ)紙とのインタビューで語った。

総裁は、9日のECB理事会以降の2週間で
明るい兆候が増したかとの質問に対し「そう言える」と答えた。

ただ「不透明感は依然として高い」とも述べた。

またウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙の
インタビューで、これまでより良好な兆候は出ているものの
「回復は極めて緩慢で、下方リスクに左右される状態が
続いている」との見方を示した。

総裁はFAZ紙に対し、ユーロ圏が日本型の
長期デフレ不況に陥るリスクはないと言明。

欧州では過去4、5カ月間に改革が始まったとし、
デフレ回避に自信を示した。

また、ECBの3年物資金供給オペは
インフレリスクにはならないとの認識を示し、
「ユーロ圏にインフレが上昇する傾向はみられない。
むしろかなり逆だ。将来のインフレを示唆する
兆候があれば、短期的に流動性を吸収する手段を
われわれは有している」と語った。

ECBは、3年物オペの供給資金でソブリン債
買い入れるよう銀行に圧力をかけてはいないとし、
ECBとしては、資金がクレジットとして経済に
流入することが好ましいとの考えを示した。

ECBはこれ以上オペの担保基準を緩和しない方針とし、
今後の規定変更は基準の厳格化になる公算が大きいと述べた。

国債買い入れについては、完全に停止する計画はないとし
「市場はまだ不安定だ。買い入れ終了を発表することには
非常に注意しなければならない」と語った。

総裁はWSJ紙に対し、ECBが保有するギリシャ国債への
損失受け入れを拒否したことは、保有額が
比較的小規模であるため、市場に誤ったシグナルを
送ることにはならないとの認識を示した。

国債を買い入れたのは金融政策上の理由からだ。
このため、公共の利益が絡んでいる。さらに重要なことは、
資金が市民の税金であるという事実だ。納税者の資産を
保護するのはわれわれの義務だ」と言明。

債権を放棄することによって政府の資金調達を
支援することはECBの責務ではないと述べた。

ギリシャへの第2次支援については「合意を受け
(市場が)上向かなかったことに驚いた。これは、
市場で政策措置の実施が待たれていることを
示している可能性がある」と述べた。