ECB、ギリシャ債を一時的に適格担保から除外

欧州中央銀行(ECB)は28日、流動性供給オペの適格担保から
ギリシャ債を一時的に除外すると発表した。

ユーロ圏各国中銀は、この措置によって影響を受ける銀行に、
緊急流動性支援制度を通じて流動性を供給する必要があるとしている。

今回の措置は、S&Pがギリシャの格付けを
選択的デフォルト(SD)に
引き下げたことに続くもの。

S&Pは、ギリシャ政府がソブリン債に関する規定を変更し、
すべての民間債券保有者に債券交換を求める
集団行動条項(CAC)を加えたことを受け、SDに格下げした。

ECBは、オペに参加する銀行に対し、一定の条件を
満たした担保の差し入れを求めている。

ユーロ圏とECBは、第2次ギリシャ支援の合意を受けた
ギリシャ格下げを予想し、ギリシャ
欧州金融安定ファシリティー(EFSF)から
350億ユーロ相当の支援を受けられるスキームについて合意した。

このスキームでは、ECBがオペの担保としてギリシャ債、
その他ギリシャ政府が保証した資産を受け入れ続けることに
なっているが、まだ施行されていない。

ECBは声明で、350億ユーロ規模の担保スキームが施行されるまで、
各国中銀は、いわゆる「緊急流動性支援(ELA)」の枠組みを活用して
銀行に流動性を供給できると指摘。

担保スキームが施行されれば、原則的にギリシャ債は
再び適格担保になるとし、「それは2012年3月中旬までに
実現する見通し」と表明した。

ELAは事実上、国庫負担で、すでに厳しい財政運営を
強いられている各国政府にさらなる圧力がかかる。

しかし、中銀からの資金借り入れの道を閉ざされれば、
ギリシャキプロスの銀行が破綻するのは確実。

フランスの銀行など、ギリシャ債を大量に保有している銀行も、
ギリシャ債が担保対象外となれば、資金繰りで
深刻な問題を抱えることが予想される。

ECBの試算では、ECBのオペで差し入れられるギリシャ国債
その他ギリシャ政府が引き受けた債券はおよそ400億ユーロ。

その大部分はギリシャ銀行が差し入れたものだが、
キプロス、フランスの銀行も一定割合を占めている。