独憲法裁が緊急策承認の特別委を違憲と判断、政策対応に制限も

ドイツ憲法裁判所は28日、ユーロ圏救済ファンドによる
緊急策を承認するため議会に設置された特別委員会について、
「概ね」違憲との判断を下した。

他のユーロ圏諸国救済について、議会により大きな発言権を
与えた格好で、今後ユーロ圏救済をめぐるメルケル首相の
対応能力を一段と制限する可能性がある。

今回の憲法裁の判断により、今後救済ファンドの使途に
関する決定を下す場合には常に、連邦議会(下院、定数620人)
本会議もしくは41人で構成される
予算委員会のどちらかの開催が必要になる。

そのため救済に関する独議会の審議に一段の時間が
必要となると同時に、合意形成が
一層難しくなることが予想される。

メルケル独首相はこれまで、特別委員会を設置し、
欧州金融安定ファシリティー(EFSF)に関する
議会承認を迅速化することを目指していた。

ドイツ議会は前日、対ギリシャ第2次支援策を承認したが、
連立与党内での反対票が17人に上り、ユーロ圏救済基金拡大を
めぐって投票が行われた昨年9月の13人から造反者が拡大した。

また欧州債務危機への対応策の1つとして検討されている
国際通貨基金IMF)の財源強化について、20カ国・地域(G20)は
その条件として欧州の救済基金拡大を要求している。

メルケル首相は今回の裁判所判断で、救済基金拡大への
議会承認がさらに得られにくい状況に追い込まれた。

憲法裁は、原則違憲の判断の根拠として、
他の議員の権利を侵害していると説明した。

だが機密性の保持が不可欠であるため、EFSFによる
流通市場での債券買い入れについては、9人の委員で
構成される特別委員会による承認を認めた。

一方で、問題を抱えた国への融資や予防的信用枠の供与、
銀行の資本増強を含む他の支援策を承認する権限はないとしている。

今回の判断は、ドイツ下院が27日に対ギリシャ第2次支援策を
賛成多数で承認したことには影響しない。