1月の経常収支は4373億円の赤字、3年ぶり過去最大

財務省が8日に発表した
1月の経常収支は4373億円の赤字となった。

経常赤字はリーマン・ショック時の2009年1月以来3年ぶりで、
赤字額は現行統計で比較可能な1985年1月以降で最大。

世界的な景気の減速で、輸出が2年半ぶりの
低水準にとどまったことなどが主因となった。

ただ、中国の春節休暇の影響なども背景にあるため、
赤字基調が今後も続くとの見方は少ない。

先に発表された貿易統計と集計方法が異なる経常収支でも、
輸出減と輸入増で貿易収支が大幅な赤字となる構図に変わりはなかった。

1月の経常収支上の輸出額は、欧州発の景気減速や
円高の影響で4兆3536億円と2009年8月の
4兆2325億円に次ぐ低水準にとどまる一方、
輸入額は原油価格の上昇や燃料輸入の増加を背景に、
5兆7352億円と昨年8月以来の高水準を記録。

貿易収支は1兆3816億円の赤字と過去最大を記録した。

サービス収支は前月から赤字幅が縮小したが、
訪日外国人旅行者数の減少に歯止めがかからず、
930億円の赤字を計上。

貿易収支と合算した貿易・サービス収支は
1兆4747億円の赤字と過去最大となった。

経常収支の黒字化を支えてきた所得収支は
1兆1326億円の黒字と、3カ月ぶりに1兆円台を回復。
1兆円前後の黒字を計上するペースが続いている。

海外から受け取る配当金など直接投資収益が2228億円と
前年に比べて伸びた一方、世界的な低金利傾向を反映して
証券投資収益は9358億円と横ばいだった。

財務省によると、月間の経常収支が赤字となるのは、
比較可能な1985年以降で5回。

1990年と1991年、1996年、2009年の1月と今回だった。

1月は年明けで輸出の動きが鈍く、貿易収支の
黒字幅が減少しやすい季節性があるという。

財務省幹部は2月の経常収支について
「輸入の大きな伸びは継続せざるを得ず、
昨年より黒字幅を縮小させる要因には事欠かない」としながらも、
1月の経常赤字は中国の春節休暇のずれも影響したとして、
現時点で赤字が続くと「断ずるのは早い」との見通しを示した。