2月の貿易収支、対米自動車輸出好調で5カ月ぶり黒字転換

財務省が22日に発表した2月貿易統計速報によると、
貿易収支(原数値)は329億円の黒字となり、
5カ月ぶりに黒字転換した。

米国経済の持ち直しで自動車輸出が好調だったほか、
中国の春節休暇の影響はく落で、1月に大幅に落ち込んだ
輸出の減少幅が縮小したことが寄与した。

ただ前年比ではマイナス94.8%の大幅減で、
黒字幅も小幅にとどまり、2月としては
比較可能な1979年以降で2番目に低い黒字幅だった。

財務省では、貿易赤字基調脱却かは見極めが必要としている。

黒字転化の主たる要因は、世界経済の減速や
円高の影響で低迷している輸出の減少幅が縮小したこと。

輸出は5兆4409億円となり5カ月連続で減少したが、
減少幅は1月の前年比9.3%減から同2.7%減に大幅縮小した。

全体を引っ張ったのが米国向け自動車輸出の復調。

中国の春節休暇の影響で1月は
大幅に輸出が落ち込んだが、そのはく落も寄与した。

品目別では、鉄鋼(12.6%減)、鉱物性燃料(37.9%減)などが
減少する一方、自動車が7.4%増加した。

自動車輸出は2カ月連続の増加で、
増加幅が拡大した。

地域別では、米国向け輸出が
前年比11.9%増と大幅に増加した。

4カ月連続の増加で、伸び率は2010年12月の
同16.5%増以来の高い伸びとなった。

背景には「自動車需要が堅調だったほか、
タイ洪水の影響で輸出できなかった分の回復による
上乗せがある」(財務省筋)としており、今後も
2ケタの大きな伸びを維持するかは
注意してみていく必要があるとしている。

一方で、欧州債務危機を契機に低迷している
欧州連合EU)向けは前年比10.7%減で、
5カ月連続で減少。

中国向け輸出は同13.9%減で、
5カ月連続で減少した。

為替レート(税関長公示レート平均)は、
1ドル77.10円で、対前年比6.4%の円高だった。

輸入は同9.2%増の5兆4079億円で、
26カ月連続で増加した。

原粗油(15.5%増)や液化天然ガス(53.8%増)、
通信機(59.8%増)の増加幅が大きかった。

輸入原油単価は前年比13.5%上昇の5万6402円/キロリットル、
ドルベースでは同21.2%上昇の116.3ドル/バレルだった。

2月は5カ月ぶりに黒字に転換したが、財務省では、
貿易赤字基調を脱したかどうかは見極めが必要としている。

「輸出はアジア・EUの動向や海外景気動向など注意が必要。
米国の景気動向もよくみる必要がある。一方、輸入は、
鉱物性燃料の価格高止まり、原発事故に伴う液化天然ガス
需要増傾向はしばらく続く可能性がある。加えて、足元では
原油価格上昇や円安の動きがあり、さらに、原粗油価格や
液化天然ガスの価格増加の可能性がある」(財務省筋)とし、
赤字基調脱却かは「いろいろな要因をみる必要がある」
(同)としている。

なお、3月の為替レート(税関長公示レート平均)は
1ドル81.04円で2月より円安方向の動きとなっている。