東電次期会長は過半数の政府議決権の受け入れを=経産相

枝野幸男経済産業相は30日の閣議後会見で、
政府の原子力損害賠償支援機構に1兆円の
公的資本注入を申請した東京電力の次期会長は、
政府が過半数など一定の議決権比率を
確保することを受け入れるべきだと強調した。

東電の次期会長は人選が難航し新体制作りが遅れているが、
この点について同相は「拙速はいけない」と述べ、
次期会長選びは現政権の意向に沿うように進めるとの考えを示した。

同相は、1兆円の公的資本を東電に注入する場合、
過半数や3分の2など一定の議決権比率を
政府が握ることについて、東電の次期会長が
受け入れる必要があるかどうかとの
質問に対し「当然だ」と答えた。

関係者によると、1兆円の注入当初は政府が
議決権の50%超を握り、改革が進まないと判断すれば
同比率を3分の2以上に引き上げ可能とするのが
政府の意向だという。

枝野経産相のこの日の発言は、現政権の意向を受け入れることを
前提に次期会長人事も含めた東電の新体制を
作るべきとの考えを示したものだ。

ただ、福島原発事故の被害者対応や、各方面から
批判が高まる電気料金の値上げなど難題山積の
東電に会長として乗り込むことは「火中の栗を
拾うようなもの」(電力業界関係者)。

仙谷由人民主党政調会長代行が中心となり
人選を進めてきたが、有力財界人がことごとく
就任要請を断り、「今も全く決まっていない状況」(関係者)だという。

原賠支援機構の下河辺和彦運営委員長は29日、
次期会長人事について「機構だけで決められる
話でないことははっきりしている」と記者団に語り、
政府・与党に人選を急ぐよう求めた。

ただ、政府が3分の2以上の議決権を握る構えで
あるのに対して、次期会長候補に挙げられていた
財界人からは「なぜそのような権限を得る必要があるのか、
政府ははっきりさせる必要がある」との指摘が聞かれる。

枝野経産相には、東電を今後、どのように改革するのかについて、
従来より踏み込んだ説明が求められそうだ。