欧州は「成長協定」必要、出口戦略は時期尚早=ECB総裁

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は25日、欧州議会で証言し、
欧州には「成長協定」が必要だとの考えを示した上で、各国政府に対し
経済の構造改革を求めた。

ECBがユーロ圏諸国や銀行にさらなる支援策を
提供するかどうかについては明言しなかったものの、
出口戦略は時期尚早との見解を示した。

ドラギ総裁は、ユーロ圏各国は成長を目指した構造改革
必要だとして、「われわれには財政協定がある。今、
私の念頭にまずあるのは、『成長協定』だ」と指摘。

さらに、ECBができる貢献は物価を安定させることだとした上で、
「われわれは成長のために全力を尽くしているのだろうか。
ECBの役割は物価の安定を確保することで、
それを通じて成長に貢献できる」と述べた。

スペインの金利上昇やオランダの政権崩壊で、ECBが
再び出動するとの思惑が金融市場で広がっていることに
関しては、長期資金供給オペ(LTRO)で政府と銀行は
債務削減と財務改善の時間的猶予を与えられたとの見解を示し、
「現在は完全に、政府や銀行側が行動を起こす番だ」と述べた。

ただ、総裁はECBによる緊急措置のいかなる「出口戦略」も
現時点では時期尚早とし、必要だと主張するドイツ連銀の
イトマン総裁らとは一線を画した。

具体的には、銀行は収益と賞与の支払いの維持などを通して
財政上の基盤を強化する必要があり、一部の国では景気後退の
深刻化につながっているものの、政府は財政緊縮措置を堅持する
必要があるとの考えを示し、「われわれは今、まさに渡りかけている
川の真ん中にいる。ひたすら努力すること以外に答えはない」と述べた。

その上で、ECBは政府に時間的な余裕を与えるための役割を
果たしたとの見方を示し、「LTROは極めてタイムリーで、
かつ成功した。これにより得られたものは時間稼ぎだけでは
なかったが、仮にそうだったとしても、成功したと言える。
時間を稼げたことは、小さな功績ではない」と述べた。

最近の経済指標については、まちまちの内容だとの見解を
示しながらも、国外需要とECBの非常に低い金利
成長を支援すると指摘。

「同時に、特にユーロ圏の債券市場で緊張が再び
高まっていることや、これの実体経済への波及による
下振れリスクがある」と述べた。

債券買い入れについてドラギ総裁は
「永続的でも無限でもない」と指摘。

ECBの主要な責務は物価安定を確実にすることであり、
今後もそうあるべきだと述べた。