2013年度物価見通し0.7%、金融緩和を推進=日銀展望リポート

日銀は27日、半年に一度の
「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を発表した。

2013年度の消費者物価指数(CPI)見通し中央値はプラス0.7と
1月時点の0.5%から引き上げ、その後当面の「中長期的な
物価安定の目途」である1%に遠からず達する可能性が
高いとの展望を示した。

そうした見通しのもとで、金融政策運営について「1%が
見通せるまで実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の
措置により強力に金融緩和を推進していく」ことを明示した。

今回、日銀政策委員が示した経済の見通しは、
前回1月時点のものより成長率、物価ともに上方修正された。

2013年度は物価に加えて実質国内総生産GDP)の成長率見通しにも
プラス1.7%(1月時点プラス1.6%)に上方修正。

2012年度は、CPIがプラス0.3%と
同0.1%から上方修正。

成長率はプラス2.3%(同プラス2.0%)とした。

2011年度はCPIは0.0%(同マイナス0.1%)、
成長率マイナス0.2%(同マイナス0.4%)とした。

背景にある経済物価情勢の判断について「新興国・資源国に
けん引される形で海外経済の成長率が再び高まり、また、
震災復興関連の需要が徐々に強まっていくにつれて、
2012年度前半には緩やかな回復経路に復していくと
考えられる」とみている。

そうした中で「消費者物価の前年比は、中長期的な
予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定のもと、
マクロ的な需給バランスの改善を反映して今回の
見通し期間後半にかけて0%台後半となり、その後、
当面の中長期的な物価安定の目途である1%に遠からず
達する可能性が高い」とみている。

こうした経済・物価見通しを総合的に評価すると、
やや長い目でみれば、日本経済は、物価安定のもとでの
持続的成長経路に復していくと考えられるとの判断を維持した。

より長期的な視点も踏まえてのリスクに関しては「欧州債務問題に
端を発するテール・リスクは低下しているが、国際金融資本市場や
海外経済をめぐり、なお大きな不確実性が存在する」ほか、
「国際商品市況の一段の上昇が、交易条件の悪化に伴う
実質購買力低下などを通じて、国内民間需要を
下押しする可能性」を指摘。

さらに「復興関連需要については、今後の強まり方や
経済効果などを巡る不確実性がある」とした。

中長期的な成長期待については、成長力強化への取り組みや、
財政の持続可能性確保へ向けた取り組み次第で経済動向に
大きな影響を及ぼし得ると、政府の取り組みを促している。

物価面では、国際商品市況や中長期的な予想物価上昇率
動向などを、注視する必要があるとした。

今後の政策運営については「強力な金融緩和の推進と
成長基盤強化の支援の双方を通じて、デフレ脱却に向けて
適切な政策運営に努めていく」とした。

具体的には、第1に当面の「中長期的な物価安定の目途」である
消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるように
なるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、
強力に金融緩和を推進していくとした。

物価を目標として、
政策運営を行っていくことを明示した。

条件として、金融面での不均衡の蓄積を含めた
リスク要因を点検することにも言及したが、「現時点において、
過度に楽観的な期待に基づいて金融的な不均衡が生じているとは
考えにくい」と断りを入れている。

ただ、「政府債務残高が顕著に累増しているなかで、
金融機関は多くの国債保有しており、何らかのきっかけで、
長期金利が上昇した場合、経済・金融に大きな影響を与える
可能性がある点に留意しておく必要がある」として、
日銀の国債買い入れが財政ファイナンス
受け取られるような場合に金融機関の保有国債
暴落しかねないリスクを明示し、「金融政策の
運営に対する信認を維持していくことが重要」
と自戒の念をこめている。

第2に「強力な金融緩和の推進と併せて、わが国経済の
成長基盤強化にも、中央銀行の立場から引き続き取り組んでいく」とした。