JPモルガンCEO、株主総会で巨額損失について謝罪

トレーディングで巨額の損失を出したJPモルガン・チェースは15日、
年次株主総会を開催し、ダイモン最高経営責任者(CEO)は
損失問題について謝罪するとともに、関係者を処罰する考えを示した。

株主総会では、CEOと会長の職務を分離する提案が否決され、
株主はダイモンCEOを支持する姿勢を示した。
分離への賛成票は40.1%だった。

同CEOは株主総会後、記者団に対し「われわれは正しい行動を取る。
それには報酬返上も含まれる」と述べた。

ダイモンCEOは総会で株主の信任を得た形となったが、
損失を出した取引に関与していた幹部が高額報酬を
得ていたことに対し、批判が高まっている。

巨額損失の責任を取って14日に辞任する意向を表明した
アイナ・ドルー最高投資責任者(CIO)は、過去2年間に
年間1500万ドルを超える報酬を得ていたほか、辞任後も
1400万ドル以上に相当する株式報酬を受け取ることが
できる可能性がある。

一方、JPモルガンに対しては捜査当局も関心を強めており、
関係筋によると、米連邦捜査局(FBI)のニューヨーク事務所が
捜査を開始した。
捜査は「予備的」な段階にあるという。

また、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は15日、
関係筋の話として米司法省が同社の損失について捜査を開始したと報じた。

捜査は初期段階にあり、どのような違法行為を
調べているかは明らかでないという。

政府からの批判も強まっている。

ガイトナー米財務長官は15日、JPモルガンの巨額損失を受け、
金融規制改革を行う根拠が一段と増したとの認識を表明。

講演の中で「(JPモルガンの)リスク管理の失敗は、
金融改革を正当化する非常に強い根拠となる。
改革によって試されるのは、銀行の誤りを防げるか
ということではなく、銀行の失敗によって経済全般や
金融システム、納税者がリスクにさらされるか
ということだ」と語った。

クリントン政権で財務長官を務めたサマーズ氏も、
JPモルガンの問題は銀行に対する資本規制を強化する
根拠を高めたと指摘、安全のバッファーや資本及び
流動性に関する基準は高いほど望ましいとの考えを示した。

米議会でもJPモルガンに対する批判が強まっており、
上院のリード民主党院内総務は「JPモルガンはビジネスを
ラスベガスに持って行ったようだ。それはギャンブルだ」と批判。

上院銀行委員会のリチャード・シェルビー共和党筆頭理事は、
ダイモンCEOを公聴会に呼びたいとの考えを示した。

捜査当局や政府・議会から圧力が強まっているにもかかわらず、
この日のJPモルガン株は1.3%上昇。

巨額損失が表面化して以来11%超下落し、
時価総額が170億ドル以上失われたこともあって、
買い戻しが入った。

一方、株主総会が開かれた会場の外では抗議デモが行われたが、
デモは比較的穏やかなものにとどまった。

株主総会に出席したインターフェイス・センター・オン・
コーポレート・リスポンスビリティーの関係者は、総会について
「かなりひどかった」と批判。

「ダイモンCEOが最近の出来事をどのように生かし、
今後どうしようとしているのか、はっきり分からなかった」と語った。