EU財務相理事会、銀行資本規制めぐる協議で妥結

新銀行資本規制に関する欧州連合EU財務相理事会の協議は15日、
当初規制法案に反対していた英国が歩み寄る姿勢を示したことで妥結し、
欧州は新自己資本規制「バーゼルⅢ」に沿った資本規制法の
導入に向け一歩前進した。

英国は、世界各国が合意した資金規制が緩められているとして、
EU各国の提案に反対していたが、スペインの銀行バンキアが
一部国有化され、前日にはムーディーズ・インベスターズ・
サービスがイタリアの銀行26行の長期債務格付けと
預金格付けを引き下げるなど、ユーロ圏金融機関の
ぜい弱な状況が改めて浮き彫りになったことを踏まえ、
一転、反対姿勢を取り下げた。

オズボーン英財務相は「ユーロ圏が通貨ユーロを支えるという立場から
物事を決定する必要があるとの考えに至った」と説明。

欧州の銀行システム全体の強化が重要だとした上で「欧州銀行の体力が
どの程度なのかに世界中の注目が集まっている」と述べた。

ドイツのショイブレ財務相は、金融規制改革に
向けた重要な一歩として評価した。

今回の協議の結果、英国は欧州委員会による一定の承認を条件に、
EU基準よりも一段と厳格な基準の導入が認められる。

具体的には「バーゼルⅢ」が定める最低7%の狭義の
中核的自己資本(コアTier1)比率を10%に引き上げることが
可能で、当該水準を超える引き上げには欧州委の承認が
必要となり得るが、金融機関に対する一時的な資本増強命令は
欧州委の承認なしに行える。

今後は、規制法案の最終的な取りまとめに向け、
欧州議会との間で交渉が行われる。