人民元/円の直接取引は6月1日から、財務省が正式発表

財務省は29日、外国為替市場で日本円と
中国人民元の直接取引を
6月1日から開始すると正式に発表した。

日中間の貿易取引が急拡大する中、直接取引でコストを
削減するなど実需の利便性を高めることに加え、
規制の多い人民元の国際化を後押しすることも狙う。

東京市場では1日から、都銀など取引参加銀行が
短資会社を通じ、海外投資家向けのオフショア人民元
(CNH)/円の取引レートの提示を開始。

レートは常時提示し、取引にも応じる。

東京に支店を置く外国銀行も
レート提示や取引に参加できる。

電子取引を通じた
直接取引の導入も試行している。

同時に中国でも直接取引を始める。

上海の外貨取引センター(CFETS)が1日から
オンショア人民元(CNY)/円のマーケットメーカー制度を導入。

外国銀行を中心とするマーケットメーカーが提示する
人民元/円の平均レートを基準値として日々公表し、
1日につき上下3%の変動幅以内でCFETSを通じて取引に応じる。

安住淳財務相は29日朝の会見で、直接取引の開始に
歓迎の意向を示し「取引コストの低下や金融機関の
決済リスク低減といったメリットがある。両国通貨の
利便性向上や、東京市場の活性化にも資する」と期待を示した。

中国人民銀行も直接取引についての声明を発表。

歓迎の意向を表明し、直接取引が通貨取引コストの削減や、
日中の経済・金融面の関係強化促進に寄与すると期待を示した。

ただ、市場動向や取引量が狙いほど増加しなければ、
直接取引は米ドルを介して行う現状より、
結果として取引コストが割高となる可能性もある。

市場では、直接取引のレートを提示しても、取引そのものが
広がるかは「まだ未知数」(都銀の外為担当者)との指摘も出ている。

人民元と円の直接取引は昨年12月、野田佳彦首相と
中国の温家宝首相が首脳会談で拡大方針を合意。

米ドルを介さずに済むため取引コストを抑えることができるほか、
人民元や円の国際的な利用を促進することもできるなどとして、
日中政府の合同作業部会が民間金融機関などと協議を進めていた。