銀行救済はECBの職務外=オーストリア中銀総裁

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーの
ノボトニー・オーストリア中銀総裁は29日、
経営難に陥った銀行の救済はECBの仕事ではなく、
各国政府の責任で行うべきだとの認識を示した。

ECB内で国債買い入れの再開をめぐる議論や
利下げの用意が行われていないことも示唆した。

総裁はスペインの銀行問題について、複数の国で
問題が起きていることは残念だとした上で
「これはECBの仕事ではない。銀行の救済は
各国政府の責任だということを
認識する必要がある」と発言。

「ECBの役割は流動性の分野であり、
ソルベンシーの分野ではない」と述べた。

ギリシャについては、ユーロ圏にとどめることが
大きな目標だとしながらも、ギリシャ国民・政府の問題だと述べた。

総裁は、ECB内で国債買い入れや追加の長期融資に
関する議論が現時点で行われていないことも明らかにした。

その上で、これらの措置は「非常に有効」とし、
ECBとして新たな行動に踏み切る前にこれまでの
措置がどう奏功したか見極める考えを示した。

政策金利については、来週の理事会で
引き下げる用意がないことを示唆し、
「われわれは事前にコミットすることは
決してないが、市場の期待も
(引き下げ)方向にはない」と述べた。

ECB理事会メンバーであるリプストク・エストニア中銀総裁は
議会への年次報告提出にあたり、欧州諸国の中銀は
不慣れな役割を果たすことを迫られていると指摘し、
債務危機への対処には欧州の常設の安全網となる
欧州安定メカニズム(ESM)のほうが適役との見方を示した。

「中銀はふさわしくない役割を果たすことを迫られている」と述べ、
危機への対処にESMを活用すれば、支援受け入れ国の経済政策を
望ましい方向に導くための条件設定が可能となるほか、
危機対策の費用を全体的により的確に把握できるとの見解を示した。

さらに、過去1年間で「各国中銀のバランスシートに
内在するリスクが拡大」し、エストニア中銀では
3億7000万ユーロ(4億6400万ドル)から
約13億ユーロへの資本増強が必要だとした。

オーストリア当局、一部金融株で「ネーキッド空売り」禁止期間を延長
オーストリアの金融市場庁(FMA)は29日、
エルステ・グループ・バンク、ライファイゼン
・バンク・インターナショナルの銀行株や、
ウィーン・インシュランス・グループ、
ウニカの保険株について、「ネーキッド
・ショートセリング」(取引の裏付けとなる株式を
確保せずに空売りを行うこと)の禁止期間を
10月31日まで延長したと発表した。

これまでは5月31日に禁止措置が
解除される予定だった。

マーケットメーカー、もしくはスペシャリストによる
短期売買は禁止措置の対象外となる。