ポルトガルの銀行預金増加、信頼感の表れ=中銀報告書

ポルトガル中央銀行は29日、国内銀行の預金は今年、
増え続けているとし、ユーロ圏の債務危機にもかかわらず
銀行への信頼感が保たれていることを
反映しているとの認識を示した。
ただ、国内外のリスクは大きいと警告した。

中銀は金融安定報告書で、預金の増加ペースは昨年から
鈍化したものの「この(増加)傾向は、何よりも
国内銀行システムはしっかりしていると消費者が強く
信頼していることを示している」と指摘した。

国際支援の下で経済調整が進むなか、この信頼感は
金融安定を保証するための貴重な資産であるとし、
国際支援を受けている他の国とは異なっている
との認識を示した。

また、預金増加は主に顧客が年金や投資信託への投資を
売却したことによるもので、
いずれは細る公算が大きいものの、
銀行に対する全体的な信頼感が
見られることが重要なプラス材料だとした。

一方で、緊縮財政措置を実施するなか、
1970年代以降最悪のリセッション
(景気後退)に見舞われ、不良債権
ユーロ導入後の最高水準に
膨れ上がっていることについて、
2012年もこの状況は続くとの見通しを示した。

景気後退により家計や企業の
財務が悪化し、信用リスクが高まったと指摘。

国際レベルでの悪材料がもたらす
「極めて強い波及リスク」も存在し、
銀行システムとソブリンリスクの
結び付きによって状況が悪化している国が
ユーロ圏で増えているとの見方を示した。

国内銀の自己資本については、
欧州銀行監督機構(EBA)が求めている
9%のコアTier1(狭義の中核的自己資本
比率を6月末までに
達成できるとの見通しを示した。