JPモルガン、損失穴埋めで推定250億ドルの優良資産売却

米金融大手JPモルガン・チェースは、デリバティブに絡む
20億ドル超の巨額損失を穴埋めするため、
推定250億ドルの優良証券を売却した。

ダイモン最高経営責任者(CEO)は今月、
社債などの証券を売却して
10億ドルの利益を得たことを明らかにしている。

そのため第2・四半期利益への打撃は
それほど大きくならない見通しだ。

ただ投資ポートフォリオ上にある利益性の高い証券を
売却することで損失縮小を図れば、売却益に対する
税支払いによるコスト増加と将来の利益を
摘んでしまうという難点も伴う。

アナリストによると、今回の優良証券売却による利益は
1株当たり約0.16ドルで、第2・四半期利益の
およそ5分の1程度だ。

だが投資家に対し新たな価値を生み出すことはなく、
単に利益の出所が社内のある部門から別の部門へと
移るだけとも言える。

過去の記録によると、JPモルガンがこれらの証券を
売却する際に実現した利益率は4%以下にとどまっている。

ロイターの分析によれば、これは10億ドルの利益を得るのに、
250億ドルの証券売却が必要になることを示している。

JPモルガンがアナリスト向けの説明に使用する
38%の税率に基づけば、10億ドルの利益を得るには、
3億8000万ドルのコストがかかる。

その場合の純利益は6億2000万ドル
(1株当たり0.16ドル)となる。

コンサルタントで、過去に米証券取引委員会(SEC)の会計主任を
務めたリン・ターナー氏は「JPモルガンは非常に
愚かな決定を行った」と指摘する。

具体的には、正確に理解していなかったデリバティブ商品で
リスクを負ったことに加え、「取り替えのきかない
高リターン資産を売却」している点を挙げた。

金利の環境下では、証券売却により
大きな利益を得ることは難しいという。

ダイモンCEOはこれまで、一連の資産売却により、
さらに80億ドルの利益を得ることが
可能との見解を示している。

同社の提出書類によると、売却の対象となった
資産プール(3月31日時点)には、平均利回り3.15%の社債
利回り3.41%のモーゲージ担保証券(MBS)などが含まれている。

アナリストは、売却で得た資金で同様の証券を購入しても、
それほどの高い利回りは得られないとみている。

売却時期は不明で、同社は売却資産の
価値について詳細を明らかにしていない。

JPモルガンの広報担当者は、発表内容以上の
詳細についてはコメントを拒否した。