先進国の物価上昇率、マネーより人口増加率と関連強い=日銀総裁

白川方明日銀総裁は30日、日銀金融研究所主催の
国際コンファランスであいさつし、先進国では
物価上昇率と人口の増加率の相関関係が
2000年代に観察されるようになったと指摘した。

一方、マネーの増加率と物価上昇率の相関は
近年弱まっている、との見方を示した。

白川総裁は、「人口動態の変化に伴う問題は、日本だけでなく、
諸外国にとっても今後、重要性を増していく」と述べ、
一例として「中国の生産年齢人口の増加率は1990年から
減少傾向をたどり、2020年にマイナスになる」
との予想を取り上げた。

日本については「1990年代以降、物価上昇率
人口変動率の間に正の相関関係が観察される」と指摘した。

日本の人口減少は「今後も継続し、当面経済成長率に
下押し圧力を及ぼす」との見方を示し、労働人口の増加や
医療・介護など高齢者向けビジネスの拡充、
海外需要の取り込みなどが必要と強調した。

資本の最適配分により労働生産性を引き上げ、
1人当たりの所得水準を上昇させる余地があるとも指摘した。

日本の貿易収支は2011年度に赤字に転落したが、
理由は原発事故による化石燃料輸入増など一時的要因だとし、
「当分、経常収支の黒字基調に変わりはない」との見方を示した。