銀行同盟創設でユーロ圏危機が緩和される可能性=BIS年報

国際決済銀行(BIS)は24日公表した年次報告で、
ユーロ圏の銀行同盟創設によってユーロを取り巻く圧力が
緩和され、長期的に存続可能な状態に導く時間的余裕が
得られる可能性があるとの見方を示した。

年報は、ユーロ圏の銀行監督を一元化する銀行同盟の創設、
預金保険制度の共通化や銀行破綻処理基金の創設へ
弾みをつける内容となっている。

BISはその中で、銀行ルールを共通化することで
ユーロへの信頼感を醸成し、銀行破綻を警戒した
預金の流出を防ぐことができるとしている。

実際、ギリシャの銀行では、2010年の
初めから3割近くの預金が流出している。

年報の主要テーマともなっている中銀に課せられている
金融安定と経済成長支援の重責については、世界的金融危機
際した中銀の断固とした対応で、1930年代の世界恐慌
二の舞は避けられたと指摘。

ただ、低金利で時間稼ぎはできるものの、銀行の不良債権処理や
家計債務の削減へのインセンティブも低下するとし、景気回復時に
構造問題を解決しなければ、次の危機につながる
リスクがあるとの見方を示した。

また、世界経済について悲観的な見通しを明らかにした。

金融・経済の弱さの根本原因を解決しなければ、
中銀に対して実行可能な政策以上のものを求める声が
広がって超緩和的金融政策を巻き戻すことが困難となり、
最終的には中銀の信認と自主性が損なわれると指摘した。

各国政府に対しては、中銀への圧力を取り除き、
国家財政への信頼感を後押しするため積み立て不足に
陥っている年金・社会保険や「肥大化した」公的部門の
問題解決を迅速に行うよう促した。