幻惑されるユーロ

今週の為替相場は、欧州情勢を睨みながら、
荒い値動きが予想されます。

ユーロ圏首脳会議では、
ドイツと他の国々の対立が目立っています。

ドイツの厳しい姿勢に対して、いつ支援を受けても
おかしくないフランスを中心に、金融支援を巡る
緩やかな対応を望む声が強まっています。

ドイツの厳しい姿勢が、いつか自国が支援を受ける時にも
示されるのではないか、そんな思いが、
ドイツに譲歩を迫る動きに繋がっているのです。

結局、ユーロ圏や国際機関の支援を仰ぐには、
それなりの厳しい緊縮財政がセットになることで、
支援を受けたい国は二の足を踏んでいます。

さらに、実際に支援を受けた国は、
支援時の条件変更を願っています。

そうした動きが、ドイツの頑なな
姿勢をさらに頑なにさせています。

結局、ユーロ圏では、
何も決められない、ということです。

金融危機の元を絶たなくてはいけないのですが、
ユーロ圏では、その能力がないようです。

自浄力がない、集合体では
何も出来ないということです。

そのユーロが上下に振れています。

金融危機がユーロ圏の総力で解決出来る、
そういう噂が流れて、ユーロは買い戻され、
それが難しいとなると、ユーロは売られる
動きが続いています。

為替市場に参入している、ある一部の参加者の中には、
これを絶好の儲け所と考えている人たちがいるようです。

あるいは、欧州流の不明朗な取引をして、
今の欧州危機で思い切り稼いでいる
人たちもいるみたいです。

ユーロの動きを利用して、利益を上げている、
不謹慎だけど、そう思わせるような動きを
ユーロはしています。

一方、米国では、景気の先行きに
対する懸念が広がって来ました。

一部の地区連銀総裁は、米国の景気の
先行きに対して、自信を持っています。

あるいは、景気についてはともかく、
これ以上の緩和は必要がない、
ということに力点が置かれているようです。

市場は、米景気の先行きに対して、
懸念が生まれていることに反応して、
ドルが下落するとの見方を強めています。

事実、ドルの上値の重さが意識されています。

これに対し、日本では、政局が大荒れです。

しかし、そんなことは問題になりません。

日本が財政均衡に向けた努力を
行っていることが、評価されているようです。

結局、相対評価の円買いが
続くということになりそうです。

予想レンジは、
ドル円が74.20〜81.20円、
ユーロ円が96.80〜102.80円、
英ポンド円が118.80〜126.80円、
ドル円が75.80〜83.80円。