ユーロ不安はなお継続

今週の為替相場は、ユーロを巡る
不安感が強い展開が予想されます。

スペイン国債の利回りが再び7%に乗せるなど、
先行き不透明感が強まっています。

ユーロ圏が抱える問題は、直ぐに解決できるものでは
ないことは分かっているのですが、それでも首脳会議で
合意したとの報道が流れると、市場はユーロ買いで
反応することが多くなっています。

しかし、その後、合意の報道が、結局は何も決まっていなかった、
あるいは努力目標だったことが明らかになるなど、ユーロ圏にとって、
良いことが、実は何も出来ていなかったということが多く、
ユーロ売りが強まる流れになっています。

結果として、買い戻されたユーロが
さらに売られる展開になっています。

ギリシャ問題で、ようやくユーロ圏が一致したと
見られたものの、ギリシャは約束を先延ばし、
あるいは修正しようとするなど、約束されたことは
果たされていないことが明らかになっています。

市場は、これまで何度もギリシャ問題については、
何度も何度も騙され続けています。

騙さなければ、欧州金融危機は際限の無いところまで
陥ってしまう可能性があるので、ユーロ圏としては、
交渉がまとまったように見せかけることに
懸命だったような感じがしています。

市場は、それに上手く騙されて、
収益をあげていたと言うところでしょうか。

今回、またユーロ売りが強まっています。

一気に、ユーロが安値を記録する可能性が出ています。

ギリシャ、スペイン問題が
イタリアなどに波及する可能性もあります。

もし、それが強まると、
ユーロ急落の展開が想定されます。

この中、米国では雇用統計の
不調が意識されています。

オバマ大統領は、雇用統計の
悪化について、懸念しています。

このまま、大統領選挙まで、雇用統計の
明確な改善が見られなければ、再選は
厳しい状態になることが予想されています。

そのため、FRBは何かをしなければなりません。

何もしないという選択肢もありますが、
今、それを出来る状況には無いと思います。

市場は、雇用統計回復を目指し、追加緩和を
行う可能性が強く、それを見越して、
ドルは積極的に買えないことになりそうです。

一方、日本は政局に対する懸念がありますが、
消費増税法案が参議院でも可決される可能性が強く、
原発問題も大飯原発が再稼動されるなど、
電力不足に対する懸念がやや拭われている感じがします。

懸念されていた材料が、クリアされているというところです。

結局、相対評価で円は堅調と考えられます。

また、IMFのラガルド専務理事が日本に来て、
円高に対する懸念を述べましたが、
これは財務省のシナリオに沿った発言と
受け取って良いでしょう。

日本にいる時は、日本のシナリオに沿った発言をして、
日本からの支援を受けた「恩返し」という感がします。

円高を懸念しているのは、日本だけ、
その構図には変化がないと考えています。

予想レンジは、
ドル円が74.80〜81.80円、
ユーロ円が93.80〜99.80円、
英ポンド円が117.80〜124.80円、
ドル円が76.80〜82.80円。