豪経済は底堅く、世界的なショックにも対応可能=中銀総裁

オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)のスティーブンス総裁は24日、
豪経済は変化を遂げつつあり、中国の景気減速や欧州危機の深刻化など、
世界的なショックへの抵抗力を強めている、との認識を示した。
シドニーでの講演原稿が明らかにされた。

ティーブンス総裁は、豪経済を楽観視している理由について、
家計貯蓄の増加、債務に対する慎重な姿勢、銀行による
国内の資金調達源への切り替え、住宅価格の安定を列挙。

中国経済が悪化したり、欧州債務危機が再び世界的な金融の
「発作」を招いたりした場合でも、豪州はそれに対応できる
金融の力と政策ツールを持っている、と述べた。

総裁は、そのカギを握るのは柔軟な為替相場だとした上で、
豪ドルは2008年のように、下落して国内経済に刺激を
与える要因になるだろうと予想。

さらに、金利も動かす余地があるとして、「世界的な経済環境が
著しく悪化しても、インフレが懸念要因とならない限り、
必要が生じた場合にマクロ経済政策を用いる余地がある」と語った。

オーストラリアにとって最大の輸出先である中国の経済については、
必要があれば刺激策を講じる余地があると指摘、「中国では
金融セクターなど水面下にある問題の大きさが懸念されていたとしても、
それに対する中国当局の対処能力が著しく損なわれていると
考える理由は明らかではない」と述べた。

その上で、中国経済のハードランディング懸念を否定。

最近の中国のデータは鉱工業生産が10%前後、経済成長率が
7〜8%拡大していることを示しており、「今のところ、
中国経済は概ね順調に推移している」と述べた。

オーストラリアの住宅市場がバブル状態にあり、
崩壊の危機が迫っているとの見方が出ていることに関しては、
国際的に見て国内の住宅価格が高すぎることを示す兆しは
全くないとする一方、多くの住宅保有者はローン返済を
順調に進めており、延滞は非常に少ないと述べた。

RBAは5月と6月に世界的な経済環境の悪化を受けて
政策金利を引き下げたが、金利は依然として
世界の先進国を上回る水準にある。