国際金融システムは依然ぜい弱、銀行規制回避の動きも=IMF報告書

国際通貨基金IMF)は、25日公表した最新の
「国際金融安定性報告書」の中で、国際金融システムは
なおぜい弱であり、依然として続いている危機への対応で
規制整備が遅れているとの認識を示した。

2007年の世界的な金融危機の発生以降、
5年を経過した今でも国際金融システムは
良い状態にはなく、規則については、
合意に至っていないものさえあると指摘した。

また規制強化への対応をめぐり、「大手銀行グループは、
規模の大きさが有利に働き、新規制への対応コストを
より上手く吸収できる可能性がある。そのため特定の
市場において一段と市場の集中が進むこともあり得る」
としている。

さらに「新規制を回避するため、一部では
すでに革新的な金融商品が開発されている」と指摘。

「銀行の規制強化が、規制が及ばないノンバンクセクターに
特定の取引が流れることを後押しする可能性がある」とした。

「シャドウバンク」に関する規制については
現時点で合意が得られていない。

金融安定理事会(FSB)は11月、シャドウバンク規制に
ついて提言を行う予定だが、すでに米国は
マネー・マーケット・ファンドMMF)の
規制強化に反対の立場を示している。

報告書では、新銀行自己資本規制(バーゼルⅢ)などの
改革は正しい方向に向けた一歩としているが、
金融システムは依然として、過度に複雑
かつ集中度が高いと指摘。

「改革によって安全な金融構造を確立するという
目的はまだ達せられていない。一部の国・地域では
危機が長期化したため公的な介入を続けざるを得ず、
金融システムを『再起動』させ安定的な経路に
乗せることが後回しにされていることが
一因となっている」と分析している。

また現在の低金利環境が将来的に「新たなぜい弱性」
を生む可能性があるとの見方も示した。

一部のリスクの高い取引については、銀行に
資本の積み増しを単に義務付けるのではなく、
直接的な規制の是非について国際的な議論が必要とした。

2009年の20カ国・地域(G20)首脳会合での決定を受け、
IMFは金融改革の実施状況について定期的に審査している。