銀行セクター問題、物価安定の責務損なう恐れ=クーレECB専務理事

欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は20日
ユーロ圏銀行セクターの問題が中銀の金融政策運営に
大きな影響をもたらし、物価安定の責務がないがしろに
されるリスクがあるとの認識を示した。

フランクフルトで開催されている
「ユーロ・ファイナンス・ウィーク」で述べた。

専務理事は「1990年代の日本のような状況に
欧州も直面するリスクがある」と指摘。

こうした脅威に直面しているからこそ、ECBに
中心的な役割を付与する新たな銀行監督規制で
合意することが不可欠だとした。

クーレ専務理事は、規制案の策定を
性急に取りまとめるべきではないとも指摘。

基本原則は1月までに合意すべきだが、
導入時期がその後になることも可能とした。

また銀行の破綻というケースが生じた場合、
納税者の残余リスクはまず各国が担い、
最後の段階になって初めて欧州の納税者が
被ると述べた。

クーレ専務理事はまた、欧州連合EU)に支援を
要請する国があれば、ECBは新たな国債買い入れ
プログラム(OMT)を実施する準備が整っているとした。

ECBがOMTを発表して以降、金融市場の状況は
改善しているが、各国が改革や財政健全化の
取り組みの手を緩めれば、この市場の静かな状態は
続かないとした。