欧州、「バーゼルⅢ」導入を先送りする公算=EU筋

欧州連合EU)の複数の関係者によると、
欧州は米国と同様、新たな銀行規制
バーゼルⅢ」の導入を先送りする方向にある。

バーゼルⅢ」は、国際的に事業展開する大手銀行を
対象に来年1月1日から段階的に導入されることに
なっているが、欧州は、導入を6カ月程度先送りする
可能性がある、という。

導入の先送りは不透明感をもたらし、
金融危機再発防止に向けた「バーゼルⅢ」導入に
関する国際的な合意を台無しにする恐れがある。

EU関係者の1人は匿名を条件に「何があろうと
2013年1月1日に新規則は導入できない。
年央が現実的だろう」と語った。

欧州は、米国が「バーゼルⅢ」の導入先送りを決定したことで
欧州の銀行が米銀よりも不利な立場になることへの懸念も示している。

関係者によると、欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は、
バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長に書簡を送り、そうした懸念を表明した。

ガイトナー米財務長官にも送付された同書簡の中で、
バルニエ委員は米国に対し、新規則の導入時期を
明確にするよう求めるとともに、米国と欧州が異なる方針を
取ればリスクが生じると警告した。

ただ、多くの欧州当局者は、EUも同じ道をたどり
導入の先送りを余儀なくされる可能性があることを
非公式に認めている。

EUは「バーゼルⅢ」の導入をめぐり、どの資産を
流動資産とみなすかなど多くの点で合意できないでいる。

欧州議会も「バーゼルⅢ」を導入するEU法でボーナス支給に
関する厳しい制限を求めており、英国などが反発している。