韓国大統領選で朴槿恵候補が勝利、初の女性大統領誕生へ

19日の韓国大統領選挙は、与党セヌリ党朴槿恵
(パククンヘ)候補(60)が接戦を制し勝利した。
同国で初の女性大統領の誕生となる。

朴氏は分断された社会の
融和に努める考えを示した。

開票率約88%の時点で、朴氏の得票率は51.6%と、
民主統合党文在寅(ムンジェイン)候補の48%を引き離した。
これを受け、文氏は敗北を認めた。

朴氏はソウル中心部で熱狂的な支持者らに出迎えられ、
「これは危機克服と景気回復を願う国民によって
もたらされた勝利だ」と勝利宣言した。

来年2月に就任、任期は1期限りで5年間。

朴氏は、北朝鮮問題や景気底上げなど待ったなしの
課題に対応していくことが求められる。

韓国の国内総生産GDP)伸び率は、急成長を遂げた
過去数十年の年平均5.5%から2%程度に鈍化。

また近年は貧富の差が拡大しており、とりわけ若者層は
経済問題とともに、十分な収入が保証される雇用の創出が
大きな関心事だ。

また前週には、北朝鮮大陸間弾道ミサイル技術を
試したとみられるロケットの発射を強行。

朴氏に対しても北朝鮮に「恨み」を抱き「対立」を
あおっていると非難するなど対決姿勢を強めており、
景気対策とともに喫緊の課題となっている。

朴氏は北朝鮮金正恩第1書記と交渉する意向を
示しているが、支援の前提条件として核兵器プログラムの
断念を求めている。

朴氏は米国との自由貿易協定(FTA)を
強く支持しており、経済政策では李明博大統領の
自由市場政策を堅持するとみられている。

ただ、サムスン・グループが韓国GDP
およそ20%に相当する売り上げを稼ぎ出すなど、
財閥への富の集中には批判も集まっており、
朴氏は富をより均等に配分する意向を掲げている。

朴氏は自身の手本として、自由市場の強硬な
推進論者だったサッチャー元英首相や、
欧州で最有力の指導者とされるドイツの
メルケル首相を挙げている。

朴氏は朝鮮戦争後の復興を指揮した朴正熙
(パク・チョンヒ)元大統領の娘で、
母の死後はファーストレディーの役割を務めた。

ただ朴正熙氏の功績をめぐっては、保守派が
最も偉大な大統領として賞賛する一方、
反対派は人権を軽視し反対派を抑圧する
「独裁者」と批判しており、現在でも
韓国をなお二分する。

朴槿恵氏は独身で子供はいない。
一生を国のために捧げるとしている。