切れ目なく強力な金融緩和を推進していく=白川日銀総裁

日銀の白川方明総裁は25日、都内の日本記者クラブで講演し、
日銀は資産買い入れ基金を2014年に10兆円増額した後も
残高を維持するなど「切れ目なく強力な金融緩和を
推進していく」と強調した。

日銀は22日の金融政策決定会合で消費者物価上昇率2%を目指す
「物価目標」を導入、「無期限緩和」の採用も決めたが、
機械的国債買い入れ長期金利上昇につながると警戒した。

日銀は安倍政権の意向を踏まえ金融緩和を強化してきたが、
「政策は日銀自らの責任と判断でしっかり運営していく」
と述べた。

白川総裁は、日銀が22日に公表した2014年度の物価見通しが
0.9%である点を踏まえ「2014年初から当分の間、
毎月長期国債2兆円を含む13兆円の金融資産買い入れを
行う」と述べ、これまで事実上の物価目標であった1%が
見通せる段階でも強力な金融緩和を継続する姿勢を改めて
強調した。

ただ、2015年度以降の金融政策については「医者が
2015年度の投与方針が決まっているといえば
患者は不安になる」とかわし、2015年度以降の
日本経済を見通すことが難しい現時点で語るのは
時期尚早との見方を示した。

また「海外の中央銀行も物価安定の達成の時期を
明確には定めていない」と述べ、物価目標を目指すと
同時にバブルの発生などに目配りする柔軟な政策運営の
必用性を強調した。

「仮に2%を機械的に達成するために国債をやみくもに
買うと思われれば財政ファイナンス(穴埋め)とみられ、
長期金利が上がり実体経済に悪い影響を与える」と警戒した。

日本経済の競争力と成長力が強化されれば、「持続可能な
物価の安定と整合的な物価上昇率が高まっていく」ため、
「物価安定目標を2%とし、できるだけ早期に実現する」
と述べた。

同時に「物価安定の下での持続的な成長の実現という課題は、
様々な主体の相当な努力が必要。その達成は容易ではない」
と指摘した。

これまで拒否してきた2%の物価目標を受け入れたのは
政治圧力が理由では、との質問に対して、以前も
「日本が成長力強化に向けて取り組みを行えば、
1%が少しずつ上がっていくとも申し上げた」と説明した。

また「日本経済が低迷を脱するチャンスを迎えつつあり、
それを大事にしたい」とも述べ、日銀としても
景気後押し形の大胆な金融緩和が今は効果的との見方を示した。