雇用改善前に資産購入縮小・停止の必要性も=米FOMC議事録

米連邦準備理事会(FRB)が20日に公表した1月29〜30日の
連邦公開市場委員会FOMC)議事録によると、複数の委員が
潜在的なコストをめぐる懸念から、雇用市場が改善する前に
資産買い入れの縮小か停止が必要となる可能性が
あると指摘した。

議事録では「資産買い入れの効果、コスト及びリスクを
継続的に評価した結果、FOMCとして労働市場の見通しが
大幅に改善したと判断する前に買い入れを縮小または
停止することになる可能性もあると複数の参加者が
述べた」としている。

1月のFOMCでは月額850億ドルの資産買い入れ継続を
決め、労働市場の見通しが著しく改善するまで、
資産購入を続ける方針を改めて示した。

米経済は2012年第4・四半期に急減速したが、
1月の会合でFRB当局者は、景気の足踏みにもかかわらず
経済は引き続き緩やかな成長軌道にあるとの認識を示した。

議事録の発表を受けてドルは上昇し、米国株は下落。
S&P総合500種は昨年11月中旬以来で
最大となる1日あたりの下落率となった。

金価格は昨年7月以来の安値をつけたほか、
株式市場の下落を受けて米国債価格は上昇した。

議事録によると、1月の会合では多くの当局者が
一段の資産買い入れによる潜在的なコストについて
懸念を表明した。

こうしたタカ派的な見方の一方で、時期尚早な
資産買い入れ停止に伴うリスクを指摘する意見も出され、
議事録は「一部の当局者は資産買い入れをあまりに早く
縮小または停止することによる潜在的なコストを
指摘した」としている。

FOMC内部で意見の相違があることが明らかになり、
来週行われるバーナンキFRB議長の議会証言に
注目が集まりそうだ。

昨年終盤の政策変更で、FRBは、向こう1〜2年の
インフレ見通しがFOMCの長期目標である2%から
0.5%ポイント以内に収まる限り、失業率が6.5%に
低下するまでフェデラルファンド(FF)金利
ゼロ付近に維持するとの方針を表明した。

1人の当局者は、追加の緩和策として失業率が6.0%に
低下するまで実質ゼロ金利を維持することを提案した。

複数の当局者が1月のFOMCで、購入した債券の
保有期間を現在の想定より長期化することで
一段の金融緩和を提供する可能性について
協議したことも明らかになった。

FRBのバランスシート規模は、債券買い入れにより
2008年以降で3倍強に拡大し、約3兆ドルとなっている。

FRBはこれまでに、金融を引き締める時が来れば
バランスシート規模を縮小すると表明している。

今回の議事録では、3月の会合において非伝統的な政策の
潜在コストに関する声明の表現を見直すとした。

アトランタ地区連銀のロックハート総裁は19日、
米経済には改善の兆しが見られるものの、ぜい弱な
労働市場を踏まえれば連邦準備理事会(FRB)の
緩和政策は年内を通じて引き続き適切との見方を示した。