イタリア下院は中道左派が僅差で勝利、上院は過半数獲得勢力なし
イタリア総選挙は開票作業が99.9%終了した時点で、
中道左派連合が下院での得票数でわずか約13万票の
差をつけて過半数議席を確保した。
下院では最多得票を集めた勢力に定数議席の54%が
自動的に付与される仕組みになっている。
一方、上院では中道左派が中道右派を上回る議席数を
確保したが、モンティ首相の中道連合と組んだとしても
過半数議席には満たない接戦だった。
政権を樹立するのに十分な得票数をどの勢力も得ておらず、
政治的な空白に直面することになりそうだ。
ほぼ全ての開票が終了した時点で、上院での議席数は
中道左派が121議席、ベルルスコーニ前首相の
中道右派連合は117議席、グリッロ氏の「五つ星運動」が
54議席、モンティ首相の中道連合はわずか22議席。
今回の選挙では、グリッロ氏の「五つ星運動」が躍進。
下院でも単独の勢力としては最大政党になる見通し。
下院における得票率は25.5%で、ベルサニ氏が率いる
民主党の25.4%をわずかに上回った。
一方、中道左派連合率いるベルサニ氏に
とっては屈辱的な結果となった。
中道左派は約2カ月前には中道右派連合に対して
世論調査で10%ポイントリードしていた。
中道左派連合の一角を占める「左派環境自由党(SEL)」の
ニコラ・ベンドラ党首は「五つ星運動が真の勝者だ」と指摘し、
中道左派連合はグリッロ氏に対応する必要が出てくる
との認識を示した。
ボローニャ大学のステファノ・ザマグニ教授(経済学)は、
イタリア人の大部分が「ドイツと北部欧州の緊縮路線への
追随にうんざりしている」ことを示したと指摘。
「こうした人々がメルケル独首相や
緊縮策に抵抗した」と述べた。
結果が明らかになった後の記者会見には
ベルサニ氏は現れなかった。
民主党のエンリコ・レッタ副書記長とモンティ首相は、
しかるべき勢力が政権樹立を目指す責任があり、
再選挙は選択肢ではない、との見方を示している。
レッタ副書記長は下院で最大の中道左派が
まず政権樹立を目指す権利があるとしている。
上院と下院には同等の権限が与えられている。
グリッロ氏は選挙期間中にあらゆる勢力に対する批判を
繰り広げており、いかなる勢力とも手を組まない考えを
示していた。
ただし、選挙結果に対するグリッロ氏の
反応は未知数となっている。
今後は、ナポリターノ大統領が政権樹立の方法について
協議するため、代表者らを招集することになる。
だがこれは、選挙結果が正式に確認され、
議会が招集された後である3月10日以降。
今回の結果を受け、市場の債務危機懸念が再燃。
投資家は中道左派が単独で政権を握るか、
モンティ首相の中道連合との連立政権を
樹立するかのどちらかが、リセッション
(景気後退)からの脱却に向けた道筋が
最も保証される方法だとみていた。