米FRB、非常に緩和的な金融政策維持する必要=NY連銀総裁

米ニューヨーク連銀のダドリー総裁は25日、米経済全般は
一定の改善が見られるものの労働市場の状況は「健全な
状態から程遠い」として、連邦準備理事会(FRB)は
非常に緩和的な金融政策を維持する必要があるとの考えを示した。

同総裁はニューヨークで行った講演で、「金融政策を
非常に緩和的に保つ必要がある」とし、「(緩和策を)
時期尚早に解除するリスクは、持続可能で力強い回復を
確実にするには十分に緩和的でない可能性のある
政策によるリスクを上回ると考えている」と述べた。

米国では失業率が前月に7.7%に
低下するなど雇用関連の指標が改善。

ただFRB内のハト派の中核として知られるバーナンキ議長、
イエレン副議長、ダドリー・ニューヨーク連銀総裁らが
引き続き緩和策にコミットメントを示している。

この日の講演でダドリー総裁は、月額850億ドルの
資産買い入れプログラムをめぐり取り沙汰されている
懸念事項を1つ1つ否定。

量的緩和第3弾(QE3)は当初の予想を
超える効果を発揮していると述べた。

一方、増税や急激な歳出削減など財政政策の引き締めが
景気の足かせになるとの認識を示し、これにより米国の
今年の国内総生産GDP)伸び率が1.75%ポイント
押し下げられるとの見通しを示した。

同総裁は「米経済のファンダメンタルズ(基礎的要件)は
改善しており、金融政策もさらに勢いを増している」
としながらも、「このところの財政制約の高まりで、
このことが直ちに成長強化につながらない恐れもある」
と懸念を示した。

FRBは前月、QE3の規模を維持することを決定。

ただ、FRB内部では大規模な買い入れの継続により
金融市場が不安定になり、資産バブルの発生や
インフレの萌芽につながるとの懸念も出ている。

これに対しダドリー総裁は「労働市場の見通しが
短期的に大幅に改善するとの判断を下すのは
時期尚早だ」とし、資産買い入れの規模は
この見通しの「大幅な変化」に対応すると述べた。

さらに、労働市場には「大幅な」緩みがなお存在しており
「健全な状態からは程遠い」とし、このところの雇用増を
過大に解釈するべきではないとクギを刺した。

FRBのバランスシートは
現在3兆ドルを超える規模に拡大。

FRBが資産売却を開始すれば損失が膨らむ
との懸念も出ているが、ダドリー総裁は
FRBは中銀であり、資産運用会社ではない」とし、
FRBは将来的な損失について懸念せずに景気支援を
行うことに集中するべきとの考えを示した。

米経済成長率については、第1・四半期は
年率換算で2〜3%になると予想。

ただ財政引き締めにより上半期は成長の
足取りは重くなるとの見通しを示した。