日銀の新緩和策は「海図なき旅」=OECD事務総長

経済協力開発機構OECD)のアンヘル・グリア事務総長は
23日午後、対日審査報告発表の記者会見で、日銀が導入した
新たな金融政策を「非常に大胆で積極的」と前向きに評価した上で、
2%の物価上昇達成に向けて、目標を堅持し続けることが
重要だとの考えを示した。

事務総長は、巨額の債務を抱える低金利下の日本で、
金融政策を運営する日銀の試みを「まったく
新しいアプローチ。海図なき旅に乗り出そうとしている」
と評し、2年程度をめどとする物価目標の達成時期について
「1年半かもしれないし、2年半かもしれない。
調整されないと(変化に)適応できない。大事なことは
目標を見失わないことだ」と述べ、2年にこだわる
必要はないとの見解を示した。

会見に同席したシニアエコノミストのランダル・ジョーンズ
経済局日本・韓国課長も、デフレが長期化する日本の
インフレ予測は困難だとしながら、日本は「デフレから
脱却しつつあり、(物価も)2%に向かいつつある」
途上だと指摘。

「(目標達成には)3年かかるかもしれないが、
それはそれでいい。重要なことは、日銀が達成するまで
(政策を)続けること。途中で撤退してはいけない」と述べ、
2006年に日銀が量的緩和政策を解除し、デフレ脱却に
至らなかった点に言及した。

事務総長はさらに、政府が財政再建の必要性を
強調し続けていることにも触れ「財政・金融政策の
一貫性を維持することができると、正しい方向に
すべてが進む。日本は正しい方向にある」と評価した。