財政健全化目標、官房長官発言に財務相ら否定的見解

菅義偉官房長官が今月22日の経済財政諮問会議で、
2020年度に基礎的財政収支プライマリーバランス
PB)を黒字化するとの財政健全化目標について、
柔軟に考えるべきだと表明していたことが、
公表された議事要旨で明らかになった。

しかし、麻生太郎財務相ら閣僚はこの日の会見で、
目標の見直しに否定的な考えを相次ぎ示した。

議事要旨によると、官房長官は諮問会議の席上で
「2015年のPB半減は、現実的に2年である。
この提案は骨太(の方針策定)のときに、
もう一度きちんと考えるという理解でいいか。
私どもは約束しているが」と発言。

さらに「あまり固定化しないで、もう少し様子を
見ていってはどうか」と述べた。

財務相はこの日の会見で、官房長官の発言について
「2015年まで(の赤字半減)とか、2020年まで
(の黒字化)は目標として立てているので、
今の段階で特に変えることは考えていない」と否定。

ただ、発言は諮問会議での議論だとして「いろいろな意見が
出るのは当然。(目標達成が)2015年では無理、2020年では
無理だから、20何年との考えがあってもおかしくない。
それまで景気がいいと思えない」とも述べ、
一定の理解を示した。

甘利明経済再生担当相も、官房長官発言は「目標を
延期せよという発言ではない。経済の影響をよく精査
・調査すべきではないかとの提言」だと説明しながら
「政府が掲げる方針(の達成)はなかなか厳しいが、
それに向けて進める前提は変えていない」と述べた。

官房長官はこの日の会見で、自身の発言について
「2015年度は目前に差し迫っている。そのまま
約束するとか、先延ばしするということではなく、
もう一度目標について、それぞれが精査する必要が
あるのではないかとの考え方だ」と説明。

「必ずしも見直しを示唆したり、財政健全化を
放棄するようなことではない」と述べた。

安倍晋三首相は25日の参議院予算委員会で、2020年度に
PBを黒字化するとの目標について「安倍政権でも
国際的にすでにコミットしている」と述べ、
国際公約であるとの認識を示していた。