ドル買戻しに限界あるか

今週の為替相場は、ドルの買い戻しに
限界があることを意識させる動きが見られそうです。

バーナンキFRB議長が、超緩和策の解除を
年内にも始めることを指摘しました。

米経済の回復と失業率の改善が前提条件です。

この二つの条件について、最近の米景気指標は
順調な回復を示唆していることを指摘、超緩和策の
解除に向けて自信を見せています。

同時に、金融政策を利上げに転じるものではないことを指摘、
市場の早とちりに釘を差しました。

バーナンキ議長としては、米国経済の回復と
金融政策について、自信を示したわけです。

こうなったら、ドルは目をつぶっても買える通貨です。

欧州では、再度ギリシャ危機が再燃しています。

ユーロ圏の結束も乱れています。

ユーロ圏の牽引役だったドイツ経済は息切れ気味です。

ユーロ圏の支え役だったフランス経済は
不安定で、財政赤字問題も深刻です。

ユーロ圏発足以来の危機にあることが判明しています。

これで英国がEUから離脱するようなことになれば、
欧州の結束は瓦解することになります。

一方、日本はアベノミクスの改革が緒についたばかりです。

日銀は最大級の緩和を行い、円安、株高をサポートしました。

この結果、円安、株高は目論み通りに進み出ましたが、
株価の急落が、その目論みを消し去りました。

実態の伴わない株高が瓦解したのです。

円安も、株安を睨んで、あっという間に
終わってしまいました。

日本は円安誘導をしているという批判を
抑えることが出来ました。

あのまま、105円超えて、さらに110円を
超えるような円安になっていたら、
日本は世界の孤児になるところでした。

そうでなくても、安部首相は「胡散臭い」存在と
見られているのだから、90円台で一進一退と
なっているのは、日本にとって良いことです。

このように、欧州、日本がモタモタしている間に
米国は経済の回復が鮮明となり、失業率も
想定の範囲内に戻り始めています。

ドルにとっては、絶好の買いのチャンスという訳です。

それでも、ドルの上昇が鈍いのは、ドルには
致命的な欠陥があるのではないかと考えます。

戦後、基軸通貨として世界経済を担い続けてきた、
「勤続疲労」が出ているのかも知れません。

かつての基軸通貨の英ボンドが凋落したように、
ドルも凋落の道を歩んでいるのかも知れません。

英ボンド凋落と違うのは、英ボンドに換わる
米ドルという存在があったのに対し、
今はドルに換わる存在がないことです。

世界経済の荒波に揉まれて、満身創痍になっている、
ドルの凋落は直ぐそこに来ているのかも知れません。

だからドルが好材料が出ているのに買われない
状況が続いている、そんなピース嵌め込めば、
今の状況が説明出来るような感じがします。

予想レンジは、
ドル円が93.20〜100.20円、
ユーロ円が124.20〜130.20円、
英ポンド円が144.20〜152.20円、
ドル円が85.20〜92.20円。