対日直接投資、高いビジネスコストなど課題=日銀論文

日銀は31日、外国企業による日本への
直接投資の現状と課題を整理した論文を公表した。

日本への直接投資が他の主要国に比べて低水準にある
要因として人件費や税負担などビジネスコストの高さや
日本市場の閉鎖性などを指摘。

一方で販売や研究開発の拠点としての魅力も
認識されており、対日直接投資拡大のポテンシャルは
「決して低くない」としている。

論文では、世界全体の対内直接投資の残高が
すう勢的に拡大している中で、対日直接投資は
「金額でみても、対GDP比率でみても、
極めて低い水準で推移している」と分析。

特にリーマンショック以降は先進国企業の投資慎重化や
円高進行などを背景にそれまでの増勢が一服、
20兆円を下回る残高が続いている。

外国企業が対日投資を敬遠している理由として、
人件費や税負担など「ビジネスコスト」の高さや、
事業所設立の手間など「日本市場の閉鎖性と特殊性」、
英語でのコミュニケーションなど「人材確保の難しさ」
があげられていることを紹介。

一方で、市場規模の大きさに伴う販売拠点や
世界トップレベルの研究者数を有する研究開発拠点
としての魅力を外国企業が指摘している。

対内直接投資の増加は政府が掲げる成長戦略でも
「国家戦略特区」の活用や外国企業の誘致に
取り組むことなどが明記されている。

論文でも生産性水準の高い外国企業の流入によって、
取引先企業を含めて日本企業全体の生産性向上に効果が
あると分析。

政府を含めた取り組みの進展で、「対日直接投資の
さらなる拡大が期待される」としている。