米緩和縮小巡り、ドル上値重い

今週の為替相場は、ドルの上値が
重い展開が予想されます。

米緩和縮小の観測は、発表された
米雇用統計で急速に萎んでいます。

米雇用統計では、非農業部門の新規雇用が
市場の事前予想を下回ったことや、前月分、
前々月分が下方修正されたことで、
雇用の厳しさが印象付けられました。

さらに、失業率は改善しましたが、実際には
就職を諦めた人が多くなったことが、失業率の
改善に繋がったことが明らかになりました。

つまり、FRBが期待する雇用の改善とは程遠い状態で、
数字だけが良くなったことが確認出来たわけです。

事前の地区連銀総裁の一部の人の発言では、
雇用統計の改善や他の経済指標の好調な動きから、
金融緩和縮小は躊躇することなく行うべきだ、
そんな論調が強まっていました。

市場も、金融緩和縮小は既定路線との見方を強め、
雇用統計発表前にドルは一時、対円で100円台を
回復する動きも見られました。

もちろん、米雇用統計の改善を読み込んだだけでは
なかったのですが、雇用統計は改善しているとの思いが
ドル買いが起こりやすい状況にあったわけです。

米雇用統計は、色々な意味で事前予想を裏切るものと
なることが時にありますが、まさに今回は裏切られたわけです。

仮に、米国の金融緩和縮小が遅れることになれば、
不安定な新興市場国の市場の動揺が抑制されることになります。

世界経済にとっては、不安の先送りに
なることで、やや一安心です。

米国だけの都合で、金融緩和縮小を行おうとしていることに、
新興市場国から批判が強く、シリア介入観測が強まるなかで、
米国が孤立する状況となっているだけに、一つの米国批判の
芽が摘まれる可能性もあるわけです。

もちろん、金融政策を決めるのは米国ですから、
判断は米国がするわけです。

ただ、金融緩和縮小は決定的と見られていたのが、
先送りする可能性も出てきたかも知れない、
そんな空気が醸成されて来たわけです。

一方、欧州では、ギリシャ支援が再び必要になってきた、
そんな発言が出始めてきました。

これまでのギリシャ支援は失敗したというわけです。

欧州は、三度、ギリシャ支援に踏み切るわけです。

この過程で、ユーロ圏の存在意義が
問われる可能性も出てくる可能性があります。

脱退が取り沙汰されている英国の去就が注目されます。

ユーロ圏の盟主である、ドイツにとっても、
国民の支持を取り付けるのに、莫大なエネルギーが
必要になる可能性があります。

このような状況の中で、ECBは緩和的な
姿勢を堅持する必要があります。

ECBが、突出して各国の金融危機を抑制する
番人になることも出来ないわけです。

ユーロ圏による締め付けが厳しくなることに、
反発する国々も出ています。

各国の反発を意識しながら、ECBは欧州金融危機
防がなければいけないわけで、非常に難しい状況に
追い込まれているのです。

だから、ユーロは安心して買える通貨ではないのです。

この中、2020年のオリンピック、
パラリンピックの東京開催が決まりました。

アベノミクスで、精神面、金融面でのデフレ脱却が
打ち出されましたが、現実的な策がなかなか
見つかりませんでした。

しかし、オリンピック、パラリンピック開催が
7年後に決まったことで、なかなか見つからなかった
具体策が見つかりました。

少なくとも、これから7年後までは、オリンピック、
パラリンピックの準備で東京首都圏は活気が
見られると思います。

古いインフラの整備とともに、
新しい施設の建設が始まるわけです。

さらに、福島をはじめ、東北地方の復興も、
今よりテンポアップすることが予想されます。

東北の復興とオリンピック、パラリンピック開催は、
同時進行で行われることが望ましく、世界にその姿を
見せることが日本に課せられた使命です。

もっと言えば、福島原発の汚染水問題や原発廃炉の問題も、
その終息を急がなければなりません。

安部首相が五輪招致のプレゼンテーションで語ったことは、
国際公約になったわけで、日本は原発問題の早急な収束を
図る責務を負ったわけです。

こうした動きが本格化すれば、日本経済は
大きく回復する可能性があります。

今問題になっている消費税率の引き上げ問題も、
オリンピック、パラリンピック開催が決まったことで、
日銀短観を待つことなく、引き上げを決定しても
大丈夫だと思います。

多くの企業がオリンピック、パラリンピック開催の
恩恵を受けることが出来ると思います。

問題は、国民です。

企業が給料を引き上げてくれれば助かりますが、
日本の企業はなかなか給料を引き上げないと思います。

引き上げるのは、大手の企業にとどまり、中小企業、
零細企業は仕事を継続するのがやっと出来るだけだと思います。

多くの国民にとって、消費税率の引き上げがあり、
建設工事ラッシュで物の値段が上がり、インフレが
加速する恐れがあります。

その中で、給料は上がらない、仕事があるだけまし、
何て構図が見えています。

オリンピック、パラリンピックの開催が決まったことで、
インフレになる恐れもあるのです。

それも悪い形のインフレになる恐れがです。

日銀がその時に、アベノミクスの呪縛から逃れることが
出来るかどうかが、国民生活が安定する
大きなカギになりそうです。

とりあえずオリンピック、パラリンピック開催が
決まったことで、足元の一段の円安は避けられると見ています。

予想レンジは、
ドル円が94.20〜101.20円、
ユーロ円が125.20〜132.20円、
英ポンド円が148.20〜156.20円、
ドル円が84.20〜92.20円。