五輪を起爆剤に、15年続くデフレ払しょくしたい=安倍首相

安倍晋三首相は国際オリンピック委員会IOC)総会出席のため
訪れていたアルゼンチンのブエノスアイレスで7日、記者会見し、
2020年のオリンピック及びパラリンピックの開催地が東京に
決定したことを起爆剤に、15年間続いたデフレや縮み志向の経済を
払しょくしていきたい、との考えを示した。

消費税率引き上げの判断については、経済情勢を見極め、
この秋に判断していく方針に変わりはないと述べた。

安倍首相はオリンピック招致決定について「皆が力を合わせれば
夢が叶う。国民の皆様とともに示すことができた。心から感謝したい」
と述べ、「東日本大震災からの復興を成し遂げた日本の姿を、
世界の中心で活躍する日本の姿を、世界中に力強く発信していくことが、
東京開催決定の感謝の気持ちをあらわす最善の道と考える」と語った。

さらに、「インフラ整備、観光など幅広い分野にも
いい影響を与える。オリンピックムーブメントを
世界に広げ、安全で確実にオリンピックを実施する
という期待に応えることがわたしたちの課題だ」
との考えを示した。

招致決定が日本経済に与える影響については「15年続いた
デフレ、縮み志向の経済を、オリンピック開催決定を起爆剤
として払しょくしていきたい。今わたしたちは大きな目標を
得ることができた。この目標に向かって進んでいくことが、
今までの縮み志向を変えていくことにつながっていく」とした。

消費税率引き上げの判断に与える影響については
「経済情勢を見極め、この秋にしっかりと判断していく、
この方針に変わりない」と述べるにとどめた。

中国との関係については「(先の)G20(20カ国・
地域首脳会議)で私から習近平(中国)国家主席
説明した通り、戦略的互恵関係の原点に立ち戻って
日中関係を発展させていくべきとの考えだ」とし、
中国側にも同様の姿勢を期待したいと述べた。

韓国については「基本的な価値と利益を共有する重要な隣国だ。
難しい問題もあるが、意思疎通を積み重ね、大局的観点から
協力関係を構築していきたいと考えている」と述べた。

エネルギー政策について安倍首相は「エネルギーの安定供給、
エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を
構築する」とした上で、「原子力比率は引き下げていく。
今後3年程度の間に再生可能エネルギー普及、
省エネルギー推進を最大限加速させていく」と語った。

また、安倍首相は会見後、NHKなどの取材に対し、
オリンピック招致決定と消費増税の判断は直接関係ないが、
経済にはプラスになるとの見方を示した。