米緩和縮小の影響、前回上回る恐れ=ECB専務理事

欧州中央銀行(ECB)のアスムセン専務理事は10日、
米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和縮小に伴う影響は、
前回の1994年当時より大きい恐れがあり、拡張的な
政策からの出口戦略を明確に伝えることがいかに大事かを
物語っているとの認識を示した。

専務理事は「米景気の回復に伴い、FRBが1994年初めに
引き締めサイクルを開始した際には、債券市場が
米国内だけでなく、世界的に売り込まれた」とし、
「当時の影響が大規模だとしたら、世界が深く
関わりあっている現在では、影響はさらに
大きい可能性がある」と述べた。

その上で2つの重要な教訓が得られると指摘。

「第一に経済指標の変化にどう対応するかを中銀が
明確にすることが不可欠であり、第二にインフレ期待が
十分に抑制される必要がある」と述べた。

インフレ懸念が利回りに対する景気動向
影響を増幅させるとしている。

出口戦略は一部の国ですでに協議されているものの、
ユーロ圏経済については、出口の開始は時期尚早とした。

「仮に状況が悪化すれば、ECBは行動する用意がある」とし、
追加緩和もあり得るとの考えを示した。

ECBが導入したフォワドガイダンスについては、
2つの目的があると指摘。

1つはコリドーのボラティリティー低下で、この点については
これまで成功しているとの考えを示した。

もう1つは市場金利が経済指標に過剰反応しないよう
確実にすることであり、この点についてはやや成功しているとした。

「まだ導入して日が浅く、経済指標の改善や世界的な
金利上昇の中でどう進化していくかはまだ分からない」
と語った。

ECBが検討している議事録の公開については、
支持する考えを改めて表明。

「政策に関する協議の要旨、誰が賛成、反対票を投じたか、
投票決定に至る理由が含まれるべき」との考えを示した。

議事録公開でメンバーの各国中銀総裁に圧力がかかると
危惧されていることについては「総裁職に就く人物なら
圧力に耐えることができる」とし、こうした懸念には
否定的な見方を示した。