消費増税見送りなら財政信認確保策が必要=石田日銀審議委員

日銀の石田浩二審議委員は11日、青森市内で会見し、
来春に予定されている消費増税によって上下のリスクが
顕在化した場合には、必要に応じて政策対応する考えを示した。

ただ、駆け込み需要とその反動には冷静な対処が必要と語った。

増税が見送られた場合には、財政の信認を確保するための
手段が必要になるとの見解を示した。

石田委員は、消費増税によって景気に大きな悪影響が
生じた場合の政策対応について「今の段階で何かを
コミットするわけにはいかない」としながらも、
「上下にリスクがあった時に、必要に応じて(政策を)
見直していくことには賛成だ」とその時の経済・物価情勢に
応じた調整はあり得るとの見解を示した。

消費増税は駆け込み需要とその反動を伴うが、
経済への影響は「足して二で割れば変わらない」とし、
反動面だけを強く意識すると「マインドが悪くなる
おそれもある」と忠告。

「単に上がった分が下がったということについては、
冷静に対処していかなければならない」と語った。

安倍晋三首相は10月1日にも消費増税の是非などについて
最終判断するが、見送られた場合には、「財政への信認を
確保するための何らかの手段」が必要との認識を示し、
予定通りに増税が実施されても、潜在成長率を上回る
成長が確保できるとの見通しを語った。

また、増税が実施されることで「将来の財政への安心感が
高まることから、消費が出てくることもある」との考えを示した。

石田委員は午前の講演で、消費の拡大には所定内賃金の
増加が必要とし、賃金のベースアップの重要性を指摘した。

消費増税は物価上昇要因となるが、来年の賃上げだけで
消費増税分を含めた物価上昇をカバーするのは「無理」とし、
「若干の時間をかけて徐々にいかざるを得ない」と語った。

ただ、物価上昇によってベアが復活することで「給料が
上がるというシグナル効果が非常に重要。デフレ・
マインドを変えるきっかけになるのではないか」
と期待感を表明した。

一方、日銀が掲げる2%の物価安定目標の
実現は「道のりが長い」とも指摘した。

また、米金融緩和縮小による新興国経済への
影響については、資金の流出という金融面での
悪影響が最初に出るものの、米経済の回復によって
「貿易面を通じたプラスの影響がその後に出てくる」
と語った。