米FOMCが予想外の量的緩和縮小見送り、景気の足取り見極めへ

米連邦準備理事会(FRB)は18日、米連邦公開市場委員会
FOMC)後に発表した声明で、月額850億ドルの
資産買い入れを当面継続する方針を表明した。

過去数カ月間の借り入れコスト上昇によって景気が
圧迫される可能性を懸念し、経済成長の底堅さが
確信できるようになるまで買い入れ縮小の判断を
先送りする姿勢を示した。

買い入れ資産の内訳は従来通り米国債が450億ドル、
モーゲージ担保証券(MBS)が400億ドル。

市場では今回、資産買い入れ額の縮小が決定されると
みられていただけに、予想外の結果となった。

FRBは、財政引き締めや住宅ローン金利の上昇による
景気への影響を理由に、株価や債券相場にほぼ完全に
織り込まれていた資産買い入れの縮小を見送った。

声明では、過去数カ月間に見られた金融状況のひっ迫が
続いた場合、経済や労働市場の改善ペースが鈍化する
可能性があるとしている。

バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長はFOMC後の
記者会見で買い入れ規模縮小について、年内に縮小に
着手すると予想していた前回会合からトーンダウンし、
「あらかじめ決められた日程はない。このことは
強調しておきたい」と述べた。

ただ「経済指標によりわれわれの基本見通しが確認され、
われわれがその見通しに対する確信を深めれば、年内に
措置を講じる可能性もある」とも指摘した。

声明と同時に公表されたFRBの最新の経済見通しでは、
2013年の成長率予想(中間予想値)が2.0〜2.3%と、
6月時点の2.3〜2.6%から引き下げられた。

2014年については6月の予想が3.0〜3.5%だったのに対し、
今回は2.9〜3.1%と、さらに大幅な下方修正となった。

今回のFOMCで緩和縮小を見送りを決定した理由として
FRBは、財政引き締めと住宅ローン金利の上昇を指摘。

声明は「経済と労働市場の見通しに対する下方リスクは
昨秋以降、全体として後退したと考える」としながらも、
「過去数カ月に金融状況の引き締まりが見受けられ、
継続すれば経済及び雇用市場の改善ペースを減速させる
可能性がある」とした。

一方、連邦政府による増税や歳出削減の中でも経済が
引き続き前進しているとの認識を示し、「連邦政府
緊縮財政の影響を踏まえると、1年前に資産買い入れを
開始した以降の経済活動、雇用市場の改善は、広範な
経済のすう勢が力強さを増していることと整合する
と考える」と表明。

その上で「資産買い入れペースを調整する前に、
この進展が持続するとのさらなる証拠を見極めることを
決定した」と説明した。

バーナンキ議長は6月のFOMC後の記者会見で、
年内に資産買い入れの規模縮小に着手し、2014年半ばには
買い入れを停止することが適切となるとの考えを表明。

買い入れを停止するころには、失業率は
7%程度に低下しているとの見方を示していた。

この日の記者会見では、失業率7%との水準は、
政策担当者が買い入れ停止の時期を模索するにあたり
目標とする「特別の意味を持つ数字」ではない
との立場を示し、「年内に(緩和縮小に)着手することも
できる。ただ着手したとしても、その後の措置は、経済の
継続的な進展次第となる」とし、緩和縮小に関して
「あらかじめ決められた日程はないが、6月に示した
基本的な枠組みは維持している」と述べた。

カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は、
金利政策によるバブル形成のリスクを懸念して
今回も反対票を投じた。

フェデラルファンド(FF)金利の最初の引き上げに
適切な時期は政策担当者17人中12人が2015年
との見方を示した。

ただ、FRBが利上げを検討する目安としている
6.5%の基準に失業率が達する時期は2014年と
予想されている。

この日のFOMC声明では、少なくとも失業率が
6.5%を上回る水準にとどまるとともに、向こう
1〜2年のインフレ見通しが2.5%を超えず、
長期インフレ期待が引き続き十分抑制されている限り、
FF金利を異例の低水準に維持する方針を改めて表明した。