米FRBの緩和縮小見送り、緊縮財政や政治の機能不全も要因

米連邦準備理事会(FRB)は、経済は拡大への確かな
兆候を見せていると考えているが、大きな警告も発している。

それは、政府の財政赤字削減への取り組みが、
状況の改善を大きく阻害しているということだ。

FRBは18日、月額850億ドルの
資産買い入れを当面継続する方針を表明。

多くの予想に反し、緩和縮小に乗り出さなかった。

FRB当局者が借り入れコストの上昇や労働市場の弱さを懸念し、
インフレ率が非常に低い水準にとどまっていることなどが要因だが、
政府の緊縮策が景気を損なっているほか、政治的な行き詰まりから
政府機関閉鎖や債務不履行(デフォルト)に陥りかねない事態への
懸念も背景となっている。

バーナンキFRB議長は連邦公開市場委員会FOMC)終了後に
行った会見で、「私は、政府が資金を確保して公共サービスを提供し、
債務を返済できるように、議会と政権が協力することが特に重要だと
考える」と発言した。

議長は、失業率の低下など経済の明るい兆しにも言及したが、
現在の増税や連邦歳出削減は、今後何十万人もの雇用を
奪いかねないとも指摘した。

緊縮策により、今年の連邦財政赤字は急速に改善したものの、
予算関連法案をめぐる期限が月末に迫っており、これが
通らなければ連邦政府機関の多くが閉鎖されることになる。

さらに、10月中旬の期限までに議会が債務上限引き上げで
合意に至らなければ政府のキャッシュは枯渇し、
国債のデフォルトに直面する。

そうなれば家計や企業にとって借り入れコストが急上昇し、
株式市場も打撃を受け、米経済に多大な影響を及ぼすだろう。

バーナンキ議長は、緩和縮小の見送りを決定した一因は
「期限が迫る財政協議」をめぐる不透明感だと指摘。

政府機関の閉鎖、あるいは債務上限の引き上げができない
という事態になれば、「金融市場や経済に非常に深刻な
結果をもたらし得る」と述べた。