時間軸政策は必要あれば追加措置を示唆=白井日銀審議委員

日銀の白井さゆり審議委員は19、20日に米ワシントンで講演し、
日銀が異次元緩和の下で採用している時間軸政策(フォワード
ガイダンス)に関して、必要と判断すれば「金融緩和を2年間に
限定することなく、追加行動をとりうることを示唆している」と語った。

また、日銀が掲げる2%の物価安定目標を達成する
期間には不確実性がある、との認識を示した。
日銀がホームページで公表した。

日銀は今年4月の異次元緩和導入に際し、時間軸政策について、
1)2%の物価安定目標について、2年程度の期間を念頭に置き、
できるだけ早期に実現する、2)異次元緩和は2%の物価安定
目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために
必要な時点まで継続。その際、経済・物価情勢について
上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う、
の二つを明記した。

白井委員は、時間軸政策が二部構成になっている理由について
「市場や国民のデフレマインドからの転換を図り、しかも
インフレ期待を2%程度まで高めてアンカーするという
チャレンジングな課題に直面している」ことを指摘。

前者の時間軸政策は「日付ベース(2年程度)と経済状況ベース
(2%)の2つの特徴を兼ね備えている」とし、2%を早期に
達成するという日銀の強い意図について「市場や国民からの
信認をできるだけ早く高める」狙いがあると語った。

一方、後者の時間軸政策は、異次緩和の継続に関連づけており、
2%のインフレ期待安定化に前者の時間軸政策よりも「強力な
役割を果たしている」と説明。

「必要な時点まで」など表現は曖昧だが、今後、
インフレ期待の上昇が明確になっていくにつれて、
「より詳細な情報を加えて改善していく余地が
ありうる」とした。

その上で、この時間軸政策では、物価2%の安定的な
実現の観点から、日銀が必要と判断すれば「金融緩和を
2年間に限定することなく、必要な追加行動を
とりうることを示唆している」と指摘。

安定的に2%が実現するまで、「出口に
向かわないことも示している」と語った。

白井委員は、これらの時間軸政策は「一体となって、
日本銀行の目標達成に向けたコミットメントに対する
信認を高めるもの」とし、「過去の政策における
ガイダンスと比べると、より明確でかつ強い
コミットメント」と強調。

ただ、異次元緩和の効果が出尽くすまでには相応の
時間がかかるとし、「2%目標達成にかかる期間については、
ある程度の不確実性がある」との認識を示した。