欧州、経済改革の推進が不可欠=レーン欧州副委員長

欧州委員会のレーン副委員長(経済・通貨問題担当)は23日、
ドイツのメルケル首相が総選挙で大勝したことを受け、
同国によるユーロ圏の経済改革推進に向けた取り組みは
継続するとの見解を示した。

レーン副委員長は、トムソン・ロイター主催のイベント
「ニューズメーカー」で「銀行同盟実現に向けた勢いを
維持することが不可欠となっているほか、加盟国は
現状に満足せず、改革路線を堅持すべき」と語った。

22日投開票の独連邦議会(下院)選挙では、メルケル首相
率いる保守系与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が
得票率約42%で大勝した。

副委員長は、高止まりする失業率の改善に向け、
経済成長を加速させることが必要と言明した。

国際通貨基金IMF)の最新の経済成長見通しによると、
ユーロ圏経済は2013年に0.3%のマイナス成長となった後、
2014年にプラス1.1%に回復することが見込まれている。

副委員長は「明らかにリスクは存在する」とし、
「政局不安に加え、政策や改革の疲れや気の緩み」
をリスクに挙げた。

その上で、欧州連合EU)加盟国は財政健全化に向けた
取り組みを継続する必要があると語った。

一部エコノミストや政府当局者の間から、EUの緊縮財政策が
急激で、成長を阻害しているとの批判が出ていることについては、
一段と緩やかなペースで財政再建に取り組むことが
理想的としつつも、現実には難しいと述べた。

また、欧州、米国の財政赤字削減に向けた
取り組みはいずれも不十分との見解を示した。

リセッション(景気後退)と、それに伴う若年層の
高失業率にあえぐスペインについては、ぜい弱ながらも
成長の「グリーンシュート(新芽)」が確認されていると語った。

過去2年の輸出の急速な拡大に言及し、景気後退が
「好転する兆候がみられる」とし、「中期的なスペイン
経済見通しは明らかに改善した」と述べた。

同時に「スペインは大規模なマクロ経済上の
不均衡に苦しんでいる」とも指摘した。

フランスについては、改革ペースは正しい方向に
向かっているものの、十分と呼べるペースには
至っていないとした。

また米国の金融政策、及び財政政策の行方が、欧州だけでなく、
世界、新興国経済の成長への不確定要素になっていることを指摘した。

米成長の減速は欧州経済を阻害する可能性があるとした上で、
米議会で行われている債務上限引き上げをめぐる協議に
ついては「良識が勝利することを信じている」と述べた。