オバマ米大統領が債務上限案に署名、デフォルト回避

オバマ米大統領は17日未明、債務上限の短期的な引き上げと
政府機関の閉鎖解除に向けた法案に署名、同法が
正式に成立した。

世界経済に甚大な影響を及ぼすと懸念されていた
米国のデフォルト(債務不履行)は土壇場で回避された。

行政管理予算局(OMB)のバーウェル局長は、
連邦政府職員が17日午前から勤務を再開する
との見通しを示した。

議会では16日、上院に続き下院も同法案を可決。

共和党医療保険制度改革法(オバマケア)
修正と結びつけた抵抗を断念した。

ただ法案可決は暫定措置にすぎず、
根本的な問題解決ではない。

今回の同法成立により、政府資金は来年1月15日まで
手当てされ、連邦債務の上限は2月7日まで
引き上げられるが、年明け早々に再び政府機関閉鎖の
危機に直面する可能性がある。

オバマ大統領は、上院での法案可決後に
「不確実性という雲を企業や国民から
取り除き始めることができる。われわれは、
危機対応に長時間を費やす習慣から
脱却しなければならない」と述べた。

世界銀行のキム総裁は声明を発表し、
米財政協議の合意により、世界経済は
壊滅的な打撃を回避したと述べた。

上院採決では賛成が81票、反対が18票だった。

共和党が多数を占める下院は
賛成が285票、反対が144票。

米政府機関は10月1日から一部閉鎖され、
多くの職員が自宅待機を余儀なくされた。

債務上限引き上げは2月7日までとなっているが、
財務省の措置により暫定的にこれ以降の借り入れも可能となる。

ただ、議会が債務上限を引き上げなければ、
財務省の措置もいずれ尽きる見通し。

同法成立は、歳出と社会保障をめぐる共和党
ホワイトハウスの対立の、一時的休戦と位置付けられる。

対立により米国の意思決定や政府の基本機能は
度々機能不全に陥り、同盟国や最大債権国である
中国をはじめ各国に懸念が広がった。

財務省は、こうした状況は安全な投資先かつ安定した
金融センターとしての米国の評価を損なうリスクが
あると警告していた。

同法には、長期的な財政赤字削減策をまとめる
上下両院の超党派委員会を設置することも盛り込まれた。

削減策は議会本会議での承認が必要となる。

超党派委員会は12月13日までに作業を終える
必要があるが、一部の議員からは、合意の形成は
きわめて難しいとの声が出ている。

同法には、オバマケアで所得制限により補助金
受ける権利のない国民に対して、連邦補助金
支払われる事態を防ぐため、対策を講じることも
盛り込まれた。

同法成立は、オバマ大統領の勝利であり
共和党の敗北を意味する。

大統領は、オバマケア修正に向けた交渉を断固として
受け付けず、共和党は国民からの強い批判に直面する
結果となった。

今のところ、求心力低下が指摘されている
ベイナー議長のリーダーシップが脅かされる
兆候は見られない。

議長は午後の共和党の会合で拍手喝采を受けており、
一般議員の間で存在感を強めたとの見方もある。

ただ、草の根保守運動「ティーパーティー(茶会)」
系のクルーズ上院議員共和党)は、今回の
与野党合意を「ひどい合意」と批判。

共和党オバマケアで
譲歩しす過ぎたと非難している。