米国債の大幅な売り、銀行資本圧迫が要因でない=NY連銀

米ニューヨーク(NY)連銀は16日、5〜6月に見られた
米国債に対する大幅な売りが加速したのは、銀行の国債
対するリスク選好度が低下したからであり、新規制導入により
銀行資本が圧迫されたためではなかったとする報告書を
公表した。

米連邦準備理事会(FRB)が実施している
月額850億ドルの資産買い入れについて、
バーナンキFRB議長が規模縮小を示唆したことを受け、
米国債に対する売りが発生。

5月2日時点で1.63%となっていた10年債利回りは、
7月5日には2.74%まで上昇した。

この期間に銀行は、2008年の金融危機の最悪期、
1998年のロシアの財政危機、1994年の債券市場の
急落時に匹敵するペースで債券ロングポジションを
解消していた。

売りが加速したことついて、銀行に対し資本を
積み増すよう要求する新たな規制が引き金になった
との見方も出ているが、NY連銀はこうした見方は
誤っていると主張。

NY連銀は、米国債に対する大幅な売りが発生する前に
最も大きなリスクを取れる立場にあったディーラーの方が、
資本圧迫に直面していたディーラーよりも多くの債券を
5〜6月に売却したと指摘。

「ディーラーが流動性供給に消極的だったことで、
利回りが急上昇し、ボラティリティーが増大した」
との見方を示した。