景気への楽観的見方やや後退、米FOMCが現行規模の資産購入継続

米連邦準備理事会(FRB)は30日、米連邦公開市場委員会
FOMC)後の声明で、月額850億ドルの資産買い入れを
当面継続する方針を表明し、経済成長に対する楽観的な見方を
やや後退させた。

現行の緩和規模を維持することで、鈍化しつつある
成長を引き続き下支えする方針だ。
決定は大方の予想通りとなった。

政府機関の一部閉鎖に至った財政をめぐる議会の対立を
背景とした経済の弱いシグナルを認め、住宅市場の回復が
やや失速したと指摘したほか、労働市場の緩慢な
回復ペースへのいら立ちもにじませた。

声明では「入手可能なデータは、家計の支出や企業による
固定投資が増加した一方、住宅セクターの回復が最近
数カ月間で幾分減速したことを示唆している」と指摘。

「財政政策が経済成長の制約と
なっている」との認識も示した。

労働市場については、「幾分の」さらなる改善が示されたとし、
最近の雇用指標の悪化を受けて表現を抑えた。

一方で、借り入れコストの急上昇をめぐる懸念に触れた文言を
声明から削除し、市場金利の水準に対するFRBの懸念が
和らいでいる可能性を示唆した。

今回の声明は、9月の会合後に示した景気認識から
大きな変化はなく、米金融市場の反応は比較的限定的となった。

今回のFOMCではカンザスシティー地区連銀の
ジョージ総裁が決定に反対し、資産買い入れを
小幅縮小するよう主張した。

金利に関するフォワード・
ガイダンスは変更しなかった。

失業率が6.5%を上回り、インフレ見通しが2.5%を
超えない限り、フェデラルファンド(FF)金利
誘導目標をゼロ近辺に維持することが適切とした。

FOMC声明発表後、米短期金利先物相場は
若干下げたものの、概ね小動きで推移した。

短期金利先物は、FRBが2015年4月に利上げに
踏み切る確率は51%との見方を織り込んだ水準となった。
FRBは先月、緩和縮小の見送りを決定。

それまで縮小の用意があることを
示唆していただけに、市場は動揺した。

しかし、その後発表された経済指標は
この時の判断の正当性を示している。

政府機関を閉鎖に追い込み米国をデフォルト
債務不履行)の危機にさらした政治的対立は、
消費者と企業の信頼感を大きく損ねた。

最近の一連の経済指標も
景気の弱さを示唆している。

企業向け給与計算サービスのオートマチック・
データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ
アナリティクスが30日発表した10月の
全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は
13万人増加。

伸びは4カ月連続で鈍化、
10月は4月以来の小幅な伸びにとどまった。

ただ声明では、財政をめぐる議会の
対立への直接の言及はなかった。