バーゼル委、銀行トレーディング勘定で改革案

バーゼル銀行監督委員会バーゼル委員会)は31日、
銀行のトレーディング勘定にある資産のリスク評価方法について、
より厳格化するための改革案を提示した。

バーゼルの現行システムでは、トレーディング勘定で
保有する資産のリスク度合いに応じて資本を算出する際、
銀行に社内モデルの使用を許可している。

だがこれをめぐっては、銀行ごとにばらつきがあり、
英米の金融当局者からは過度に複雑で操作されやすい
との指摘が上がっており、こうした批判に対応する。

具体的には、ムーディーズやS&Pなど格付け会社
付与する信用格付けを使って銀行が一律にリスクを
評価する標準的アプローチが提案された。

また標準的アプローチを使って算出された必要な
資本量について、全銀行に公開することを義務付ける。

社内モデルでは、当局の審査を条件に、
銀行独自のリスク評価を用いることが可能。

標準的アプローチ自体も、内部モデルの是正案として
「十分にリスクを感知できるよう」今後改定される見通し。

内部モデルについても、規制当局のより厳しい
審査プロセスを経るとみられている。

バーゼル委はまた、内部モデルで導き出された
リスク評価にかかわらず、この標準的アプローチを
活用してトレーディング損失に対して保有を義務付ける
資本バッファーの絶対量の算出に活用する利点についても
検討している。

これに加え、取引目的の証券などを計上する
トレーディング勘定と、積極的な取引を前提としない
資産を計上する銀行勘定の線引き方法についても提案した。

トレーディング勘定と銀行勘定の境界線を明確に
することで規制の抜け穴を防ぐことが狙い。

バーゼル委は「改定後の標準的アプローチと
内部モデルの影響及び相互作用を精査後、
包括的な定量的影響度調査を終了してからでないと、
最終的な決定は下さない」としている。