米金融政策の動向次第で市場変動のリスク=日銀議事要旨

日銀が6日公表した議事要旨によると、10月3〜4日に
開催した金融政策決定会合では、9月の米連邦公開市場委員会
FOMC)で金融緩和縮小が見送られたことを受け、
何人かの委員が、米金融政策をめぐって先行き市場が
変動するリスクに注意が必要と指摘した。

国内景気について複数の委員が、
回復持続に外需が重要と述べている。

9月のFOMCでは、大方の市場の予想に反して
金融緩和政策における資産買い入れの縮小が見送られた。

10月3〜4日の日銀会合では、何人かの委員が
米金融政策運営について「市場は予測可能性が
低下したと受け止めているようだ」と述べ、
「今後、米金融政策の動向次第では、市場が
再び大きく変動するリスクに注意が必要」
と警戒感を示した。

また、政府機関が一時閉鎖されるなど影響が出た
米財政協議の帰すうに関し、多くの委員が
「不透明感が強い状況が長引く場合は、
経済主体のマインド悪化や金融市場の不安定化を
通じて経済に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。

米金融政策をめぐる思惑を背景に一部で資金流出などが
発生した新興国については、複数の委員が「今後、
米金融政策をめぐる思惑が高まった場合には、
再び資金流出やそれに伴う市場の混乱が
生じる可能性がある」と述べた。

海外経済全体としては、さまざまな不確実性が
あるものの、先行きは「次第に持ち直していく」
との認識を委員が共有した。

国内経済は、所得から支出への前向きな
循環メカニズムが働いているとし、
「緩やかに回復している」との見方で一致。

ただ、ある委員は7〜8月の実質輸出が4〜6月から
横ばいにとどまっているとし、「わが国製造業の
競争力低下などを反映している面もあり、
先行きの景気回復ペースを制約する要因となる
可能性がある」と指摘。

複数の委員は「景気が持続的に回復していくためには、
内需から外需、非製造業から製造業へと回復の動きが
広がっていくことが重要」としたが、「これまでのところ
輸出や生産の回復ペースは力強さを欠いている」と指摘した。

また、安部晋三首相が10月1日に来年4月の消費増税
決断とあわせて打ち出した経済対策を踏まえ、複数の委員が
「景気が下振れる可能性は低下した」と評価した。

物価については、消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)の
前年比がプラスに転換する中、先行きも「プラス幅を
拡大していく」との見方を共有。

ただ、1人の委員は「世界的なディスインフレ傾向に
改善の兆しがみられない」とし、「日本の物価が国内独自の
要因で伸び率を高めていくかどうか注視している」と述べた。

予想物価上昇率も「全体として上昇している」との見解で
一致したが、複数の委員が中長期的な予想物価上昇率に対して
「現状、その上昇テンポは緩やかである」としている。

金融政策運営では「効果が引き続き
しっかりと働いている」との認識を共有。

日銀による大規模な国債買い入れによって
長期金利も低位安定で推移している。

こうした中で、ある委員が「何らかのきっかけで金利
変動が大きくなるリスクには引き続き注意が必要」
と警鐘を鳴らしている。